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Nahuel Note #054 "Vor der Morgenröte: Stefan Zweig in Amerika "〈Vitor D'Almeida〉(2016)

映画『Vor der Morgenröte: Stefan Zweig in Amerika(im Exil)』

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Vor der Morgenröte: Stefan Zweig in Amerika(夜明け前:アメリカのシュテファン・ツヴァイク)ドイツ、2016年、101分

公開日:2016年8月9日 (Filmfestival von Locarno)
言語:ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語

監督: Maria Schrader

出演:Josef Hadeter... Stefan Zweig

Aenne Schwarz... Lotte Zweig

Barbara Sukowa... Friderike Zweig

Nahuel Pérez Biscayart... Vitor D'Almeida


ウィーン出身のユダヤ系作家、シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig, 1881-1942)の亡命後〜晩年のエピソードをが4章+エピローグに分けて語られている。

第一章) 1936年 ブエノスアイレスでの国際ペンクラブの祝祭。ナチスに抵抗しているジャーナリストとして讃えられるツヴァイク。本人はもう新世界に視点が向いているのに、記者会見では現在のドイツへの批判をツヴァイクの声で聞こうとする記者達ががんばる。

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第二章)1941年1月18日 ブラジルのことを取材しているツヴァイクと2番目の妻、Lotte(Charlotte Altman, 1908-1942)はバイーア州でサトウキビ畑を見学。彼らを案内して、ポルトガル語をスペイン語に訳すのがナウエルさん演じるVitor D'Almeida。調べてみると詳細は分からないものの、ブラジル文学アカデミー創設者の一人のよう。

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夫妻は急ぎの用事でNY行きの飛行機に乗りたいのに、地元では著名な作家の来訪ということで歓迎が止まらない。すごく下手なブラスバンドが「青き美しきドナウ」を演奏してくれる。

第三章)1941年1月、凍てつくNY。そこにはツヴァイクの元妻Friedrike Zweigや娘、そしてLotteらもいる。Zweigの自伝を書くという話(→『昨日の世界(Die Welt von Gestern. Erinnerungen eines Europäers) 』)

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第四章)1941年11月、ブラジルのペトロポリス。この地に暮らすツヴァイク夫妻。

エピローグ)1942年2月、ブラジルのペトロポリス。自宅のベッドで自殺したツヴァイク夫妻を固定カメラが扉の鏡を利用してそっと映す。


シュテファン・ツヴァイクは同時代のトーマス・マンらと比較されつつ、あまり今では読まれていない作家だけれど、『グランド・ブダペスト・ホテル』に出てくるコンシェルジュのモデルだったりするらしい。

「昨日の世界」であるヨーロッパへの絶望と郷愁、というような言葉だけでは言い表せない想いを抱いて新世界、南米にて未来を見ながら暮らし出すも、1942年という年に自らこの世を去ってしまったツヴァイク。

映画はとても美しくもストイックな映像で綴られていて、章がそれぞれ一続きの時間のように感じられるような長回しで撮られた、ストロークの長い筆で書かれたような印象の構成。ナウエルさんの出番は多くはないけれど、明るく暑そうなブラジルで、元気に走り回ってヨーロッパとアメリカの橋渡しをしている。彼がヨーロッパで本当に活躍して注目されるのはこの直後なので、溢れる生命力が頼もしい。

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言語は基本はドイツ語がメインだけれど、仏語・英語・スペイン語・ポルトガル語が出てくる。左側のドイツ版は字幕は英語。

Trailer


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というわけで9月から放置していたナウエルノート、ようやく再開!!!この後もうすぐに『120BPM』が控えてるので、また準備のために滞る気がしていますが、今年こそナウエルさんの来日が叶うことを信じてがんばろうと思っています。


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#StefanZweig