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大江山の魅力は
小池昌代訳の『百人一首』は、紫式部の歌が気になって手に取った一冊。
「めぐりあいて…」
有名ですが、
「見しやそれとも分かぬ間に」
とは見たのか見ないのか判別がつかないほどの、ほんの一瞬。
文法的には確かにそうですが、なんとなく、あの重たそうな装束のあの方たちは、そんな現代っぽい時間軸に生きていないと思っていました。
しかしそうではない歌を残していると小池訳で改めて気づき、紫式部に興味を持ったのでした。
この歌、「見たか見ないか」主観は不確かですが、雲隠れにし、と時が完了形になっていることは動かず、人間の頼りなさが感じられるところも文学的だなぁと思います。
小池さんは、人間の営みと天体の動きが一首のなかに溶け、静かなあきらめが感じられると言います。
私の好きな歌、大江山には、母を誇る気持ちや思慕を小池さんは感じ取ります。
私は小式部内侍の音の響きや風景のチョイスも好きなのですが、なにより、いじめっ子におしゃれに言い返した、黙らせたところが好きなのです。
誇る気持ちや思慕は感じたことがなかった…!
でも思慕があるからそこ、リアルな風景を詠み込んだのかも知れませんね。
などと気に入ってしまい、百人一首をちょっと身近に感じています。
(ちなみにかるたは取れない人です)
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