プロダクトマネージャーになった自分が大事にしていること

本記事は10Xプロダクトアドベントカレンダー2023の12/21の記事です。

私は今、10Xという会社でプロダクトマネージャーをしています。
マスターデータチームという開発組織を担当しており、今日はその中でプロダクトマネージャーとして大事にしていることを書きます。

大事にしていること

  1.  イシューを見つめ、逃げない。始まりも終わりもイシューに立ち返る。

  2.  やらないことを決める。やることは自動で増えるが自動で減らない。

  3.  外部とのアラインに責任をもつ。経営/事業とチームを接続し、メンバーが専門領域に没頭できる環境を作る。

私のチームについて

担当しているマスターデータチームについて少し説明します。私たちは「ネットスーパーで販売する商品情報・在庫情報を生成する」という役割をもっています。
実現方法として、これまでは「パートナーが既に持っている販売データ等をもらい、10Xのデータ変換機構で生成する」という手段をとってきました。この提供価値は大きく、様々なパートナー企業のStailerを導入するハードルを下げてきました。
しかし、そのために払ってきた対価やトレードオフは決して少なくありませんでした。事業・プラットフォームとして今後あるべき方向を描き・進むことが求められ、23年度下期の組織変更に伴い開発チーム化されました。

イシューを見つめ、逃げない

2023年9月、10Xでは「Stailerプラットフォーム指針」というものができました。また、この指針に沿えているかどうかを表現するいくつかの指標が定義された結果、マスターデータチームは多くの個別性や複雑性を抱えており、埋めるべきGapが多いということが可視化されました。

同時に、マスターデータチームは事業開発ニーズから、締め切りのある短期的なアウトプットも求められます。むしろ過去事業要求にスピーディに応えてきたトレードオフとして、前述した個別性や複雑性を孕んでいる状態でした。

求められることが多く、取れる手段も多様。専門性のあるメンバーが集まっている中で、自分の役目はイシューからブレずに、何にフォーカスすべきかを方針づけることだと思いました。

この半期でいえば、事業要求に応え成果を出すというだけではなく、冒頭のプラットフォームへのGapを埋めるというイシューにチームとして向き合える状態をつくることです。

その時その時で向き合うべきことは変わっていくので、何度でも俯瞰してイシューを捉え、進むべき方針を確固たるものにしなくてはなりません。
以下2つは、それを実現するためにやっていることとも言えます。

やらないことを決める

前述したとおりマスターデータチームは多方面からあらゆる期待をもらい、やることが山積みです。その上でまずはチームの向かう方針として重要なことを、📌という表現で束ねました。これは先輩enamiさんのアドバイスが源流です。

実際の社内Notionから抜粋

はじまりはロードマップやチームイシューなど、大きなタスクをEpicとしました。そして紐づくチケットを管理していますが、そもそもチームとしてはどこに向かっているか?このEpicは事業に対しどんな貢献があるのか?ということに立ち返られるようにしました。

しかし、やることは自動で増え、自動では減りません。
例えば、すでにStailerを使ってネットスーパーを運営しているパートナー企業や担当のBizdevから入る、マスタデータ関連の問い合わせや作業依頼です。
マスターデータチームの前身組織では、パートナー単位で担当者が決まっており、入信があった都度それぞれで担当していた状況でした。

やらないことを決めなければ、やるべきイシューにチームが向き合えない危機感があり、以下2点を変更しました。

  • 開発チームへの依頼は、翌営業日の朝会でチーム全員で眺め、今やるべきかどうかを決める。

  • 担当者制ではなく、原則当番制にし知識が属人的になることを防ぐ。

これだけでも「やらない」を決める意思決定機構が働きます。
他にも、あらゆることを進める中で「やらない」「やめる」が求められるシーンは潜んでいますが中々気づくことは難しいので、PdMとして誰よりもアンテナ高く見つけなければと思っています。

外部とのアラインに責任をもつ

マスターデータチームにアサインされた時、自分以外の9名のメンバーと1on1を行い、PdMに期待することをヒアリングしました。その時に多くのメンバーが共通して口にしていたことのひとつが「外部環境との接続」でした。

現在、スクラムイベントのサイクルの中で、振り返りとプランニングの間に「PdMメッセージ」という15分をもらっています。
外部環境の伝達・優先度調整など大きなゴールを再掲し、各EpicのOwnerが次Sprintで進めるべきことを自律的に判断する一助になることが目的です。

この時間は自分にも良いプレッシャーになっており、改めてチームの方針に責任を持つのは自分であるということに自覚させられます。
それで良いと思っており、プロフェッショナルなメンバーには大方針に心配せず、思う存分それぞれの専門領域に深くダイブして欲しいというのが自分の願いです。

最後に

2023年は「INSPIRED ~熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント~」を読みました。そこで最も刺さったフレーズを残して本記事を終わりにしたいと思います。

製品が成功するのは開発チームの全員がすべきことをしたからである。
だが製品が失敗した時、責任はプロダクトマネージャーにある。

『INSPIRED ~熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント~』より

来年もよろしくお願いします。



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