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恋愛用語

 ①恋愛普遍主義

 2000年代に使われていたネットスラング。umetenという人の造語。umeten氏の定義は「すべての人が同じように恋愛できる、とするものである」

 現実に、すべての人が同じように恋愛できる筈がない。ただ当時は、こんな主義のような気分が支配的だった。したがって、この言葉は、努力を強調する人々への反論として利用された。
 umeten氏は非モテ男性だったようで、モテと非モテは同じように恋愛できないと主張していたが、女性の場合も本命になれる人と、セカンド以下にしかなれない、もしくはセフレにされてしまう人とは同じではない、ということができるだろう。
 また、ア・セクシャル(無性愛)、ア・ロマンティック(無恋愛)の人も恋愛普遍主義からは溢れ落ちてしまう。


②恋愛資本主義

 これは、本田透の造語。恋愛資本はモテ要素と同義。ルックス、ファションセンス、会話力、男性の場合だと経済力、エスコート力など。本田透は男性限定で考えていたとみられる。

 最近は「性的価値」の方が使われている。この場合は「女性の方が男性より性的価値が高い」というように用いる。
 本田透は男女間ではなく、男性間で恋愛資本に恵まれているモテ男性と恵まれない非モテ男性を対比していたので、「性的価値」とはことなる用法であった。

 ③恋愛至上主義

 これは①や②とは違い、新造語ではなく由緒正しき言葉である。①や②は③から派生したと見られるので、一言触れておきたい。この言葉は、恋愛は人生で最も重要なものだという立場に立つもので、明治時代の北村透谷が有名だが、透谷については触れたことがあるので、大正時代の厨川白村を紹介しておく。

 厨川白村は、その著『近代の恋愛観』でローマの廃墟を見ても分かるように、いかなる偉大な文明でも滅びる。しかし、若い男女の恋愛は、いつの時代にもあり、普遍的である。
Love is best. と主張した。

 古代ローマでは、恋愛は社会的に重要な位置を占めていなかったので、これはあくまで近代の恋愛観でしかない。しかし、大正時代には評判になり、当時の若い男女に一定の影響をもたらした。


 ④2020年代の今日、①〜③は死語もしくはそれに近い状態になっている。男女関係は時代とともに、大きく変化することが判る。

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