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壊れているのは自分か世界か どこにも辿り着けないメトロ アパルトマンの見知らぬ部屋 いつでも傍に居たという隣人 気儘に歩き廻る猫たちの微睡
夕暮れの海に行って 沈む陽を追いかける タイダイの 空を纏って 波打ち際に 腰を下ろす オレンジ色の横顔 風になびく髪にも 夕陽は絡みついて どこかの犬が走って いくのを気にしたり スケーターの友達は ハンドサインだけで あいさつを交わした 繰り返す波が指先を 濡らしていく 灯台が明滅している ように見える 話すことは ないけれど たまに目を 細め合った おしゃべり だったのは 波と風だけ