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【サンホラ】咲く花や 散りぬるを 神代の時より繰り返す 私はそれを美しいとは思ったことがない【絵馬に願いを!】

こんばんえみえみ。
わたしがサンホラで一番好きなアルバム、第九の地平線『Nein』から五年の月日が流れました。ごごご、五年!? 

大阪でのコンサートが昨日のことのように思い出されます。ちゃんと《税込定価の50%を寄付金額として 児童虐待防止団体へのキャッシュフロー》に基づいて寄付もしましたよ!

Neinは特殊なアルバムで、ドイツ語で《否定》を意味するそのことばのとおり、過去にSound Horizonが描いてきた物語を否定する物語です。公式による二次創作。あり得た未来。

オリジナルの物語を《檻(オリ)》、そこへの干渉を《シュレディンガーの猫》の観測としてなぞらえ、悲劇を書き換えていく。

《主(あなた)》が紡(つむ)いだ?
この悲劇の中から → 幸福(しあわせ)な結末を → 導いてみよう...

しかし、否定をする者は《機械的に》死を否定するため、その改竄で免れた悲劇もあるのですが、そのために生まれた悲劇もあります。愛する者のために信念を曲げたがゆえに、愛する者を失ってしまった者。運命に抗ったがゆえに、自分の願いは叶えられたが世界を戦乱に陥れてしまった者。

だ か ら
《遮光眼鏡型情報端末》das Rührendes,Evolutionäres und Vorzügliches Optikgerät(R.E.V.O.(レヴォ))
《いずれ消えゆく人間(ひと)》が必死に生きた《現実(ものがたり)》を
勝手に《悲劇だと決めつけて改竄(ふこうに)》しないでくれ
《与えられた命がその檻の中で出逢い懸命に煌めく場所(ほしぞら)》で
燃えたんだ!

公式による二次創作という特異な作品ですが、このアルバムでもっとも特異なのは、《まだ存在していない物語の二次創作が含まれている》ということです。

Neinは第九の地平線。第八の地平線はなぜか飛ばされ、我々はまだ第八の地平線を観測していません。しかし、Neinには(他と比べて特殊ではありますが)、まだ見ぬ第八の地平線の《否定》を意味する曲が収録されています。

サンホラ15周年の特設サイトのロゴクリックで流れる和風の曲は、我々サンホラー(ローランとも言います)を驚嘆させました。第五の地平線でフランスを、第六の地平線で古代ギリシャを、第七の地平線でドイツ(グリム童話)をモチーフとしてきたサンホラの、満を持しての和! しかも神代!

咲く花や散りぬるを
神代の時より繰り返す
私はそれを美しいとは思ったことがない
絶えず久方の春の日を
仮初の影が奪い合う
その営みを美しいとは思ったことがない

しかも、サンホラが延々と描いてきた、意味のある死の否定! 最後駆け上がっているのは間違いなく黄泉比良坂であり、日本神話をがっつりやるという意志を感じます。

というわけで、1分ほどのこの曲を解釈しながら半年くらい焦らされた我々ですが、本日、ついに動きがありました。

◯7.5th or 8.5thという意味深な地平線表記
◯媒体はBDで、しかもルートが選択できる仕様
◯来年にはこの新曲を踏まえたコンサート(配信あり)!

と、盛り沢山なのですが、特にこのジャケットが味わい深い。

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下から、
◯第四の地平線『Elysion』 ←咲き誇る曼珠沙華(リコリス)
◯『少年は剣を』
◯第五の地平線『roman』 ←右手に死(紫)を、左手に生(青)を
◯『聖戦のイベリア』
◯第六の地平線『moira』
◯第七の地平線『Marchen』
◯『ハロウィンと夜の物語』
◯第九の地平線『Nein』 ←SCHau(シャオ)・ROhre(レーレ)・DINg(ディング)・GERät(ゲレート)のSchrödingerの黒猫+おそらくREVO

そして、その幾多の死の上にそびえる境界、鳥居。

もうこれだけで一年くらいは考察できます。

トコヨノナカナキノトリ。
日本の神話で、天照大神が天岩屋に籠もった時、この鳥を集めて鳴かせたという。 にわとり(鶏)の異名。とこよの鳥とも。
常世(とこよ)は「永久にかわらないもの」あるいは「常世の国」のこと。
神社では、石上神宮などで、鶏を神の使いとする。 「鳥居」はニワトリをとまらせるものだったという説もある。

完全にこれじゃん。

サンホラのコンサートでは観客も物語の一部なのですが、第八の地平線では、観客は天岩戸の周りで騒いでる八百万の神々になるのでしょうか。

天照大御神は訝しんで天岩戸の扉を少し開け、「自分が岩戸に篭って闇になっているのに、なぜ、天宇受賣命は楽しそうに舞い、八百万の神は笑っているのか」と問うた。

第九の地平線では、我々は、作品世界を天から観測する《神々》という扱いになっていました。

【彼方より来りて事象を覗き観る視線。
数多の世界を生み出せし《幻想の神々》
嘗て願いの星は文月の空に満ち、
斯くして異なる地平はひとつに繋がれた――】

しかし、第六・第七の地平線を考えるとどちらも亡者の群れだったので、(冥府の神視点で運命に翻弄される人々を見るmoiraでは亡者の群れ、復讐劇を望むMärchenでは、屍揮者に指揮される亡者の群れ)、黄泉比良坂から逃すまいと追いかける醜女になるんですかね。

怒ったイザナミは鬼女の黄泉醜女(よもつしこめ。醜女は怪力のある女の意[2])を使って、逃げるイザナギを追いかけるが、鬼女たちはイザナギが投げる葡萄や筍を食べるのに忙しく役に立たない。

鳥居は境界なので、我々のいる側が《死》の側でしょう。となると、《死》の否定を観測する役割のSchrödingerの黒猫がこっちを向いているの怖い! あと、青色のREVOがあえてちがう方向を向いているのは、もしこれが陛下のほうを見ているのだとしたら、第八の地平線の《否定》に繋がる解釈に展開できるのでこれも熱い!

と、画像一枚でご飯がいくらでも食べられるのです。
ウェルカムようこそサンホラ沼。こっちの沼は楽しいですよ(*´ω`*)

我等…生まれ落ちた地は それぞれ違うけど
胸に同じ故郷を抱いて 同じ王を戴く
臣下であり臣民(Laurant Laurant)

いま読んでる本はこれ!

松岡正剛が五十年にわたって読んできた科学書の中から宇宙論と素粒子論をめぐる代表的な本を厳選。ガリレオ、ケプラー、ハッブルから始まって、いったん時間の矢とエントロピーにこだわり、そこから著者が絶大な影響をうけたヘルマン・ワイルの展望台に立って、一三七億年の宇宙史を相対性理論やインフレーション理論やダークマターの謎でかいつまむ。最後はパリティの問題、部分と全体の関係の問題、ゲージ理論、ヒッグス粒子など量子力学の頭目たちの代表作が並ぶ。

本屋でなにげなく手にとった本だったのですが、めちゃくちゃ良かったです。SF読みは絶対に楽しめる一冊。難しい知識は要求されず、読みやすい文体で、過去から最新までの宇宙像を味わうことができます。ちょっとこのシリーズ興味が出てきたので、読んでいこうと思います。

次はこれを読むつもり。

第一章 文明と民族のあいだ
第二章 聖書・アーリア主義・黄禍論
第三章 東風的文明
第四章 鏡の中の文明像

前回の記事はこれ!

地球の長い午後も買ったんだった。読まないと。

はるか未来、寿命が尽きかけ膨張した太陽のもと、地球の自転は停止し地上には永遠の昼と夜が現れた。熱帯と化した昼の世界では、巨大に進化したベンガルボダイジュが大陸を覆い尽くし、移動できるようになった食肉植物が絶滅の危機にある動物にかわって地上を跋扈していた。文明を失った人類は弱肉強食の世界でグループを作り細々と生きていた。身勝手な行動を繰り返した末、少年グレンはグループを追われてしまった。そこに頭をよくするから君に寄生させてくれ、と言って「アミガサダケ」が現れ……。

ナウシカのモチーフとして知られる作品です。地球の角運動量が月に奪われて、自転が止まっているという設定だけでわくわくしますね。現実として地球の1日の長さは10万年で2秒程度長くなっており、その分、月の公転に持っていかれています。わくわく。

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