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理想の結婚

理想の結婚 An ideal husband (1999)

19世紀末、イギリスの社交界が舞台です。
将来を有望視されている政治家ロバートと
聡明で美しい妻のガートルードは理想のカップル。
ロバートの親友で、自由気ままな独身貴族のアーサーは
彼の妹、知的で進歩的なメイベルとの結婚になかなか踏み切れない。

この二組の男女の間に、ウィーンから妖しい魅力を持ったチーブリー夫人がやってくる。
彼女はガートルードの同級生で、アーサーと婚約したことがあり、
清廉潔白な政治家ロバートのあってはならない秘密を握っているという・・・

「理想の夫」のたった一つの嘘をめぐって、親友は右往左往し、
理想の妻と悪女と賢女が火花を散らす。
理想の夫、理想の妻、理想のカップルとは?

ウィットに飛んだ会話と、心理劇、華やかなイギリス社交界の再現が魅力です。
http://www.nikkatsu.com/oldmovie/husband/

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オスカー・ワイルドの原作「理想の夫」も会話が面白く、台詞の奥深さに引き込まれます。
アーサーとガートルードは理想のカップルとして登場しますが、
疑惑をめぐって、妻は夫にこういいます。
「男の方には、自分よりも劣ったものでも愛することがおできになる。
取るに足らないもの、汚れたもの、不名誉なもの、そんなものまで愛することがおできになる。
でも、私たち女は、愛しているときはその人を尊敬しているのです。
もしその尊敬を失ってしまったら、私たちは何もかも失ってしまうのです。」
妻も夫も完璧な相手として愛しているので、危機を前に、相手の過去も自分の過去も許せず別れを選択しようとします。
一方、遊び人で優柔不断なアーサーをメイベルは賢くコントロールし、だめな部分を含めて大好きでい続けます。

メイベルの役どころは、当時としたら進歩的過ぎるのかもしれませんが、
アーサーの、まじめな話は「毎週第1火曜の正午から午後3時まで」なんていってる偽悪的なところを、うまく押したり、引いたり。「理想の妻」になるのは彼女かな、と思わされました。

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理想のパートナーシップに、相互依存という言葉があります。
自立の果てにたどり着く相互依存。
依存したくてできなかった傷を、人は自立することで癒そうとしますが、
しかし自立して一人でがんばっていると,デッドゾーンにぶち当たる。
なんとなく楽しくない,なにかぱっとしない、先が見えない,そんな状態になったら、今度は依存していくことを許していく作業が必要になります。
誰かを必要とすること。
それは期待したりべったりと依存することではなく、
お互いがお互いを信頼し,そこから生まれる関係性。
あふれる気持ちを与え,受け取る関係。
人は誰もが孤独を感じ,悩みを抱え,自分を認めてほしい,愛してほしいと思う生き物。
愛は乞うものではなく,与え,受け取るもの。
関係性の扉を開いて,ほんとうに自分自身が満たされている瞬間、
目の前にいる人は誰でしょう?


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