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ビフォア サンセット

ビフォア サンセット Before Sunset (2004) 
ビフォア サンライズ Before Sunrise(邦題 恋人までのディスタンス1995)の続編。

ウィーンへ向かう列車の中で知り合った,アメリカ人のジェシーと、フランス人のセリーヌ。
意気投合し、ウィーンで途中下車して一緒に24時間を過ごす。
半年後に再会を約束し,パリとアメリカに別れた二人。
しかし半年後,再会することなく9年の年月が経ち・・・

二人はパリで再開する。
ジェシーは作家としてパリにきていた。
そのポスターを見て会場に現れたセリーヌ。
二人で過ごせる時間は,ジェシーのNY行きの飛行機が出るまでの85分。
カルチェ・ラタンの英米文学を扱う小さな本屋をあとに、
小道を抜けてカフェに入り,セーヌに沿った遊歩道を歩き,
オルセーの対岸から遊覧船に乗り,リムジンに乗って,
彼女の家まで行き・・・
止まらない会話。
半年後、待ち合わせの場所に行ったのか?
なぜこれなかったのか?
なぜ、あのことを小説にしたのか?
いまはどうしているのか?
あの時のことをどう思っているのか?

忘れられない人との再会。

30を過ぎた男は妻も子供もいて,小説家として順風満帆の船出をしている。
女は,写真家の恋人とは遠距離でほとんど会えず,貧困や人権擁護の為の仕事に奔走するが空回り。
「結婚してるくせに少年の心でパリに来るなんて最低よ!」
「君はなぜぼくがこの本を書いたかわかってるだろ?君にもう一度会うためさ」
85分リアルタイムで進行する二人の会話,
あの時セックスをしたかどうか?
結婚していてもなぜ忘れられないのか?
なぜなかなか恋がうまくいかないのか?
はぐらかし、忘れたふりをし、おどけてみせたり、問い詰めたり
9年の空白と思えた時間も,
二人はどこかですれ違い,時と場所を同じくしている。
運命だとか偶然だとか、ありきたりとかばかげてるとか、
そんなことはどうでもよくなるくらい、
わかりきった答えがある。
9年前には信じられなかったものを,
今なら確信できる。

ラストは見た人それぞれの想いによって、違って見えるかもしれません。

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どのようなかたちでも,心を重ね、共感し、打ち解け,
離れていても忘れられない、
同じ風景を見ていられたら,と思う存在と出会うことは
運命を感じる。

年を重ねるほど,
そういう出会いがとても貴重であることに気づくからかもしれない。

20の頃は,出会いや別れに鈍感で,
大切なものと出会っていてもそれを大切にしなかった。
そのことを教えるために、
空しさと迷いに満ちた年月を経て,
ほんとうに大切なものが何かを気づかされるのかもしれない。
そして,今度はそれを放してはいけないことを。


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