見出し画像

多摩市保育園「市職員の子」優遇問題まとめ【判決:7月21日】 松田道人

2017年10月30日 提訴 

 原告「多摩市は、社会福祉法人に対して違法支出した補助金4,563,200円について、不当利得返還請求せよ。阿部市長、古川さん、永井さんに対して同額の損害賠償請求をせよ。」

2018年1月16日 第一回期日

 多摩市 「住民監査請求期間が終了している。提訴を取り下げよ。」


2018年3月15日 第二回期日

 原告 行政が補助金の支出を秘密裡に行い違法な補助金支出を事後的に隠ぺいした本件のような場合には、住民監査請求に期間制限を定めるべきでない。つまり、原告の住民監査請求には「正当な理由」がある。」
多摩市「原告は2017年2月時点で違法性を特定していたので、その時点から相当な期間内に住民監査請求をすべきであった。」


2018年5月17日 第三回期日

 原告から、違法行為発生から住民訴訟提起に至るまでの経緯を説明。


2018年7月12日 第 4回期日

 原告側 折戸小夜子・多摩市議会議員及び多摩市民の陳述書により、違法行為及び隠蔽行為が多摩市議会及び市民にも知らされずに秘密裡に行われていたことと、「要綱の遡及改正」が違法であることを主張。
裁判長「「要綱の遡及改正の違法性」についても審理する。」

2018年8月28日 第5回期日

 多摩市要綱に法的拘束力はなく、要綱の基準に欠けたからといって、補助金が違法となることはない。また、自治体には広範な裁量権が認められており、本件補助金の交付は裁量権の範囲内である。
要綱改正は「児童福祉向上」の目的で行った正当なものであり、合理的である。
遡及改正により不利益を受けた者はいないので、違法性はない。

2018年10月9日 第 6回期日

  原告要綱は条例の委任に基づく法的拘束力のある規範である。本件要綱の改正は、違法性を外形的に治癒したようにみせ、違法性の追求をかわすために行われた。その目的は不当で、裁量逸脱濫用が認められる。「児童福祉向上」は本来の改正目的を隠すための後付けの目的である。本件補助金の交付が認められる「特段の事由」は存在せず、かえって平等原則に違反する。」

2018年11月20日 第7回期日

 多摩市 「補助金交付要綱を遡及して改正した要綱は過去に21件ある。
本件児童は、緊急の事情が生じており、希望保育所の同年齢の待機児童中1位であったため入園したのであり、不公正はない。」

2019年1月22日 第8回期日

 多摩市本件は、監査請求期間の制限が及ぶ。本件補助金の交付は適法なものであり、返還請求を行う理由はない。」
原告  遡及改正した要綱一覧を提出したうえで「多摩市が示した本件要綱以外の要綱改正は、遡及期間が1年間未満であり、かつ、多摩市に裁量権が認められない法律や都の条例等の改正に伴う遡及改正であった。本件要綱改正とは似て非なるものであると主張。

2019年3月19日 第9回期日

 原告 「本件要綱改正は手続的瑕疵を治癒するために恣意的に行われた特異な改正であり、他の児童との公平性を著しく阻害し平等原則に反するものである。本件要綱改正と同一視できる要綱改正は存在しない。
被告はそもそも物理的に一時保育室の余裕スペースを0歳児保育室として転用できないことを知っていたにも関わらず必要な東京都への届出すら行わず、本件児童の入所決定を行った
本件は正式な入所審査の手続きを踏むことなく、補助金の交付決定権のある多摩市課長が自ら本件保育園に架電し、一度、本件保育園長に断られながらも本件児童を本件保育園に入園させて補助金を交付させたという極めて特異な事案である。本件補助金の交付は平等原則にもとる恣意的なものであり、裁量を逸脱濫用したものである。」

2019年5月21日 第10回期日

 多摩市「不正または虚偽の申請」と該当するためには、「公益上の必要」が認められず、補助金の取消し、返還命令を受けてもやむを得ないといえるだけの悪質性が必要であるが、本件にはそのような事情は全くない。本件は「公益上の必要」が認められる範囲であり、基準と異なる補助金の交
付は許される。原告の主張は、緊急の保護の必要性がありながら面積基準を満たさないという理由で入所ができなかった児童がいるということを前提としている点で不当である。そのような児童の存在は確認されていない。本件要綱改正により不利益を受けた者はいない。」

2019年7月2日 第11回期日

 原告 「社会福祉法人に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実が存在する限り、現に違法ないし不当とされる状態が続いていることになり、その怠る事実は監査請求の制限を受けない
多摩市は本件児童と全く同じ境遇の児童に対しては、面積基準を厳格適用して保育所への入所を拒否したのであり、本件入所は多摩市職員への特段の便宜を図った恣意的なものである。
古川課長は面積要件を欠いていることを知りながら原告が内部告発するまで何ら対応を行わなかったのであり、当初から確信的な故意をもって面積基準を下回った補助金交付に関与したことは明らかである。
【原告側による尋問申請】
原告側:原告本人、折戸議員
被告側:阿部市長、古川課長、永井係長、松平課長、田中園長

2019年9月12日 第12回期日

 多摩市 「原告本人以外の尋問の必要性は無い。」
裁判長 「下記の者の尋問を承認し、それ以外の者は不承認とする。」
原告側:原告本人
被告側:古川課長(当時の子育て支援課長)、永井係長(当時の子育て支援課主査)

2019年11月4日 第13回(証人尋問)

原告側:原告本人
被告側:古川課長(当時の子育て支援課長)、永井係長(当時の子育て支援課主査)
  古川課長「本件児童と同様のケースで保育所入所ができなかった市民がいた

2020年1月23日 第7回

 原告 本件児童の入所申込書は、元子育て支援課主査の小柳氏が代筆し、親の委任状なくに提出されたものであり、一般市民とは異なる特別な対応により本件保育園に入所させた事実を補強。
多摩市 総括

2020年7月21日 判決

 13:15~ 東京地方裁判所 419号法廷

多摩市が内部告発を“隠ぺい”? 報告書を入手 職員の子ども入園“優遇”問題

事実通報に伴う検証の結果について (子ども青少年部 総務部)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?