恋の始まりは復讐から②
表示板が『貸切』に切り替わったのを確認し、ゆっくり車を滑らせていく。
休日の駅前は車が多く、なかなか景色が変わらない。
信号待ちにふと歩道を見ると、子供を連れた女の人が歩いていた。後を追う男性はきっと旦那さんだろう。
以前見た時には気にも留めず流していた光景。意識してしまうのは、
───彼女の事情を知ってしまったせいか。
思い出さないように努めていたが、きっかけさえあれば記憶は簡単に引き出される。
その幸せを掴むことがどれだけ難しい事か、
気づかされたのは最近だ。
感情が恨