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ゴールなんて。

 自分の記憶の中で「頑張った」経験の一番最初は一輪車に乗る練習をしたときだ。一輪車に乗れるようになりたくて、毎日、毎日家の前の道路で練習をした。その姿は、誰に見せるつもりでも、誰に評価してもらおうと思ったわけではない純粋なやりたい気持ちだった。でも、その姿というのが周りに輝いてみえたり、周りから関心されたりする姿だったんだということは、後になってからわかるもので。夢中に練習する私の姿に、関心、驚いてくれたのは父だったと記憶している。

 そのあといくつか「頑張った」経験はあるが、わかりやすく記憶に残ってるのは大学受験かと思う。小中高一貫の私立に入学させてもらったものの、成績の悪かった私はエスカレーター式に乗れず、小学校6年、中学校3年ごとにぎりぎりで進学した。とうとう高校3年間のあと大学には進学できないと決まり、仕方なく必死で受験した。親が「慶應義塾大学」に入ってくれたらいいなと昔言っていたのも思い出し、受験してみようと思い、なんとか合格した。今となっては、なんの意味もなさない学歴というやつだ。(かと言って東大やハーバードほどの高学歴でもない)でもその時は、一輪車の時とは違い、明らかに私は他者からの評価を求めて頑張った気がする。まあなんにせよ頑張ったのである。ゴールだと思って。

 しかし受験に成功し、大学に入り、あこがれた就職先に内定をもらい、あこがれたジャズバーで歌を歌い、憧れのCDデビューを果たし、あこがれのあの人に出会い、「あこがれ」という曲を歌っても。あれ、「ゴール」にたどり着いたああ。ってならないのはなぜだ。

 必死で光のある方で走る。走っている間はゴールが見える。でも、たどり着いたと思ってもゴールは手で触れられるものではなく、走った記憶とたどり着いたときの感動は胸に残る。「あこがれ」は「あこがれ」のまま胸に残り、ずっと心を灯してくれている。

次回のプレミアム有観客ライブ・配信ライブ@代官山 晴れたら空に豆まいて

3月20日(土曜)のお昼ライブとなりました。

細かい時間決まりましたら告知しますね!

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市川愛

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市川愛
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