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【妊活記録#5】全滅

1回目の採卵から3日後の朝、通勤していると
クリニックからメールが届いた。受精結果の通知だ。
うちのクリニックは、
採卵後3日目の受精結果、6日目に凍結結果が
アプリ内にPDFファイルで送られてくるようになっている

ドキドキしながら受精結果のPDFファイルを開いた。
結果は、
採卵17個→成熟卵14個にICSIを実施→受精数10個

お!受精率は結構いいのでは!!?!
てか、ちゃんと受精してくれた!!嬉しい。。。

と、喜んでいたのも束の間、よくよくファイルを
見ていると、グレードが全部悪いではないか。
しかも分割が遅い。明らかにフラグメントが多い。
10個受精卵があって、良好胚は1個だけだった。
急に、ちゃんと胚盤胞まで育ってくれるのか
不安が襲って来た。

その日は、採卵後の卵巣の腫れを診てもらうため
診察があった。先生からも受精結果について説明があったが
「うーん、今の時点ではあまり良くないね。でも、まだ分からないから、、何とも言えないです。とりあえず6日目まで待ってみましょう。」
と言われた。あぁ、やっぱり良くないんだな、と
さらに落ち込んだ。

それからは、全滅もあり得るかもなーなんて思いながら
何回も「初期胚 低グレード 胚盤胞」で検索して、
初期胚でグレードが悪くても胚盤胞になった人を
ネットで見つけては、大丈夫大丈夫!と自分に
言い聞かせる日々だった。
良い結果と悪い結果を想像してメンタルは
ジェットコースター🎢(不妊治療あるあるですよね)

それでも、今まで私の“抗精子抗体”が
夫のおたまたちをキルしてきたのだと思うと、
初めて私のたまごちゃんと夫のおたまちゃんが出会って
受精してくれたんだ...と既に受精卵への愛しい気持ちが
生じているのを感じた。

いよいよ、採卵後6日目がやってきた。結果は、
仕事終わりに二人で一緒に見ようと夫と決めていた。
その日はドキドキしていて仕事があまり手につかなかった。
仕事を終えて家に帰り、晩御飯を作りながら
夫の帰りを待つ間も、ずっとソワソワしていた。

夫が帰ってきて、一緒に結果を見た。

・・・・・そこには、

【胚凍結0個、凍結可能胚盤胞へ発育せず中止】
と書かれていた。

採卵①後6日目の体外受精報告書

全滅、、、、、思わず流れてくる涙。
やっぱりなという思いと、どこか期待していた気持ちが
裏切られた、突き落とされたような悲しみ。

正確には、4CCというグレードの胚盤胞が
1つだけ出来ていた。でも、クリニックの方針で
CCは移植してもほとんど妊娠しないので破棄する
ことになっているので、全滅という結果だった。
それでも、私には唯一がんばって胚盤胞まで
育ってくれた子
🥚がとても愛しく見えた。

翌日、診察の日だった。ショックすぎて一人で
先生の話を聞ける自信がなかったので
夫に付き添ってもらった。先生の見解は、
受精後3日目までも、そのあとも発育が悪い。
卵子と精子どちらも質が良くないと考えられる。
受精率は悪くないので刺激法は変えなくて良い。
とのことだった。

とりあえず、夫の高度精子機能検査と
次回採卵時のIMSI、スパームセパレーターを勧められ、
二人ともサプリが追加となった。

もちろんオプション追加で費用はかさむが、
意外とそれくらいかー!それくらいならやります!
となってしまうあたり完全に金銭感覚が狂っている
(これも不妊治療あるある)

でも、その時の私には、それが解決策になるならば
やれることは全部やりたいと思っていたし、
まだやれることはあるのだと思うと希望が持てた。

卵巣は最大6cmほどまで腫れて腹水も少し溜まって
いたが、幸いにもOHSSにはならなかった。
クリニックからの指示通り、水分補給もがんばったし
入浴や運動などの汗をかくことも避けて過ごしたおかげか
クリニックから出されたお薬のおかげか、
ほぼ症状は無かった。

次は1周期空けて、2ヶ月後にまた採卵することになった。
その間に、食事を気にしてみようかな、
甘いものも控えてみよう!身体整えるぞ!と
次に向けてやる気はあったけれど
全滅のダメージはかなり大きかったみたいで
それからしばらくは何度も不意に涙が出てきた。

「胚盤胞が出来ない」
これが私たちの中で一つ目の大きな壁となった。
お互いまだ29歳、クリニックでも「まだ若いから」
とか言われてきたけど、20代でも質が悪いなんてこと、
あるんだな。歳とか関係ないんだな。
採卵すれば移植できると思っていた。
甘く見てたな。移植にすら進めないなんて。
すごく、すごくたくさん泣いた。

不妊治療に絶対はないから、必ず良くなるとは分からない。
でもその分からないことを、信じてやるしかない。
やれることをやってみるしかないのだ。
こうして、胚盤胞の壁と戦う日々が始まってしまった。

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