疲れたときに開ける箱
1週間お疲れ様、そう声を自分にかける。満月が綺麗な、人の少ない住宅街をゆっくり歩く。頭が少しだけきんとするような、冷たい風が気持ちいい。1ヶ月前は、家に帰るのが嫌だった。ひとりになったら自分と向き合わなければならなかったから。だんだん慣れてきて、通知に振り回されないかわりに帰り道のどうでもいい話をする相手もいないので、ここに書きためる。私は、私のために書いているのだと、何度も思う。
ばたん、と帰るだけでベッドに倒れこみたくなったとき、開ける箱には何が入っているだろう。
特別な日に使いたい入浴剤、いい匂いのする香水、ボディクリーム。あったかいごはん、強すぎない甘いお酒、さくっと食べられるおつまみ。眠る前に読みたい本、キャンドル。昨日録画したドラマ、AmazonPrimeで追っているアニメ、レンタルしてきた見返したい映画。テンションのあがるカラフルな洋服、リップ。
いつか、猫と暮らしたい。たとえば、はくるさんのところにいるたぬきのような目の青い猫。誰かと一緒に暮らすことを今は望まないといいながらも、切望しているのかもしれない。ひとりじゃない毎日は楽なようで、慣れていなくて変な感じ。
疲れたときに開ける箱、そこには何が入っているんだろう。意外と、毎日にありふれたものを欲しがるんだって思った。日々を大事にすることを今の私は望んでいるみたい。話すのが好きで永遠としゃべっているよね、と笑われた夜を思い出す。
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