そのシワシワな笑顔とかすれた声のある生活に満たされて幸せで
元号が変わる。平成最後の〇〇、そんなふうに世間が騒いでいるのを横目に、雨のなんでもない休日を過ごしている。
1泊2日の旅行中ふたりで撮った写真は2枚だけ、きっかけも向こうから。撮りたいけど、撮られるのは苦手。それはお互い様で、カメラを向けると恥ずかしがって顔を背けられる。話しているときにふわっと顔がゆるんで、信じられないくらい優しくて柔らかい表情で笑うから、まっすぐ見たいのに見られない。くしゃってなる顔を、いつでも見返したいから残したいな…ってこんなこと思うの気持ち悪いよね。
渋滞で動かなくなってしまった車でかけるRIP SLYME、鼻歌をうたうのも、リズムを刻んで踊り出すのも、隣で見ていて微笑ましい。あいみょんのふたりの世界が流れてきて、景色を見ながら小さく口ずさむ。運転って知らない顔が少しのぞいて面白い。ぽつりぽつりと、思い出したようにいろんな話をしてくれるのが嬉しい。
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邦画をメインに観る私と、洋画を主に観る彼。いわゆるJ-POP人間の私と、洋楽を主に聴く彼。有名どころさえ押さえてこなかった私には、彼のフィルターを通した世界を見せてもらえることが楽しい。さっきまで部屋で観ていたオーシャンズ11の劇中に使われていた、ドビュッシーの月の光を流す。これ弾けるようになりたい。あと、アラベスク第1番も、中途半端なままだから。なんだか最近楽器を演奏したい欲が高まっている。
話があっちに行ったりこっちに行ったり、噛み合わないねって笑われたり、たまに呆れられたり。話しているのに突然、犬!って言って遮るのにも多分今回の旅行で慣れてくれたかな…ちゃんと会話を組み立てて話せるようになろうって反省する。
洗濯機が終了の合図で私を呼んでいる、17時を知らせる音楽がスピーカーで控えめに流れ出す。洗濯物を干したら少しだけ眠りたいな、と思いつつ気付いたら寝落ちしていて、慌てて洗濯物を干している19時。平成最後の昼寝だからいいや、って開き直ることにする。明日は仕事。
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