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クローゼットに着たい服がない

浅草で、最近仲良くなった可愛い女の子と飲んだ翌日。きちんと終電を守って帰ったので、まだまだ飲み足りない。いつもより少しゆっくり起きて、台風みたいな雨があがってさっぱりした道を歩く。
街を行く人たちを見ながら、着たい服がないな、ってぼんやり考えた。今この瞬間に聴きたい音楽や、読みたい文章を見つけるのは、割と得意だけれど、自分自身が身に付けるものに関しては迷子になる。持ちたいもの、とも少し違う。鞄とか、時計とか、財布は厳選して好みのものを手に入れたら長く使う。洋服の好みは、迷走中。以前までは、制服でスーツばかり着ていたのもあるし、純粋に歳を重ねて着たい服がTPOに合わなくなったのもある。短いスカート、お気に入りのワンピース、生足で履いてもうるさく言われない時代は終わってしまった。リゾート地なら自由に生きられるのに。

各方位に張り巡らせているバリアを解けたら楽なのはわかる、またはバリアを張って生きることを一旦受け入れるか。そのどちらもできない私は中途半端なまま、うじうじしている。

好きな人の好きな文章を読んで、ただただその世界観に溺れるのが今は心地よい、そういう日もあるなって満員電車のはしっこに陣取って、朝日に照らされながら思った。この子の文章、なんでこんなに心に届くんだろう。くだらないことも、彼女のロジックも、ぜんぶ好きだ。好きだって言葉だけでしか表現できない自分が嫌になるくらいに。私は永遠に彼女にはなれない、彼女が見ている世界を1ミリだって理解することも、味わうこともできないと分かっているからこそ輝いているんだろう。必死で、叫んでいるような、なにもまとっていない、堂々とした文章。あっけらかんとしていて、自己愛にあふれていて、こちらも元気になる、でも決して押し付けない言葉たち。

カレーが食べたい、脈絡のないことばかり、浮かんでは消える頭の中、BGMはYUKI。ニュースは救いようのない事実だけを投げつけて流れていく。

#毎日 #なんでもないこと

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