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物語がはじまるの

ダブルベットに、後輩の女の子とふたりで眠る午前3時。彼女は翌日が卒業式だと平然と言っていたけれど、前日の夜は終電まで飲んだ。ショートスリーパーでどこでも眠れるんです、と笑っていて、フラットさが好きだなと思った。

ちゃんと飲み会のあとに素直なメッセージを送ってきてくれる女の子。彼女の言葉には嘘がない。自分自身の理念もしっかり持っている。好きなものは好き、苦手なものは苦手、飽きたら飽きた。そうやってはっきりしているけれどやさしい空気をもっていて、癒される。何を言ってもあまり驚かないね、と言われた。

暖房をつけない部屋でパソコンを打つ、手がかじかんでタイプミスばかりしている。植物に水をあげる、という作業は結構好きだと最近気づいた。写真を撮られるのは苦手だけど撮るのは好き。黒子的な立ち居振る舞いを好むけれど、写真を通して自分がそこに写り込んでいる気がする。

身長がコンプレックスだと言っていた彼は、整った顔立ちをしていて、穏やかに言葉を紡ぐ人だなと思った。初対面でもそう感じさせない空気をつくるのがうまい。努力して変えられないものじゃないですか、と言っていて、なんだか歳上なのに可愛いなと思ってしまった。人と距離が近い、けれど嫌な近さじゃないのは、多分私も基本的に距離が近いからなんだろうな。ぽつぽつと話してくれた兄弟の話が温かかった。

柔らかい雰囲気をもつ大人たち、憧れていた会社に訪れるのは二度目。メールの文章からも、他者に対してのやさしさが伝わってくる。こういう大人になりたい、年齢とかそういうものではないなって思う。

そろそろ行かなくちゃ、朝方に眠ったツケで電車に揺られたら乗り過ごしてしまいそう。実家が遠くて、いろいろなところに泊まり慣れている彼女は、さらっと帰っていった。まったく自然で、不自然なくらい自然で、緊張もしなかった。なんだろうな、この感じ。長い夢を見ているみたいに、くるくると場面転換した1日だった。

そういえば、偶然代々木公園でアイリッシュフェスティバルに来ていた妹と会った。この広い東京でそんなことがあるんだな、不思議。またね、と言って別れた。

#毎日 #なんでもないこと #たくさんの偶然にあふれた土曜日


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