【小説 『AI時代#1』】 商談の帰り道
…「今回は良い提案をいただけて本当に安心いたしました。」
いやいや、こちらこそ御社への導入が決まって安堵したところですよ。
「それでは、また1週間後にオンラインでよろしくお願いします。」
はい、是非お願いします。それでは失礼します。
そう言うと宮野健介はその会話を聞いていたかのようにちょうど目の前に停車したタクシーに飛び乗る。
…というか実際に会話を聞いているのだ。タクシーの予約時間が近づくと胸元につけたピンバッチ型デバイス "Badge" のレシーバーが自動でオンになり