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武士道とはなにか?(1)


ラスト・サムライが公開されてから、十年以上経ちました。ところで、この映画はいったいなにを言いたかったのでしょうか?

サムライいう言葉を、欧米人が好んで発することを知った初めの頃、フジヤマ・ゲイシャ的なピントのズレた日本観が原因になのかと──ぼくは、少なからず訝しく思っていました。
しかし、そうではないことが、だんだん分かってきました。サムライは、日本人の世界における地位の向上に一役買ってくれていたのです。たとえば、samurai.fm の サムライは明らかに、クールなものの象徴としてそのネーミングに使われています。

どうやら世界が、サムライを、かっこいいと思って使っているらしいと分かって、日本人は大いに気をよくしたのです。そしてついには、その言葉を逆輸入して、スポーツのナショナルチームにサムライジャパンと使用したり、日本発のさまざまなものにその名を付けたりしました。日本人には当然その権利があると考えたからです。

近頃では、ニンジャの方がクールなようです。でも、できればもう… 勘弁してほしいのですが……



西洋にも武士道と共通する価値観を持つ騎士道があり、その精神をフォースという形で表現して、広めてくれたスターウオーズの功績は小さくはなかったことでしょう。
やはり、ジョージ・ルーカスたちに影響を与えたクロサワ映画の力は大きかったのです。

そして、サムライと武士道を、さまざまな迷信や誤解から解き放とうという試みが、西洋人の側から、ついに起こったわけです。そのルーツを求めてサムライが最後にいた日本へ行かなければと。つまり、彼らは、もうサムライは現代の日本には絶滅していないことを、ちゃんと知っていたわけです。

さて、あの映画を見て、武士道について関心を持った外国人に、武士道とはなにかと質問されたなら、我々はどう答えればいいのでしょう?
それが答えられなければ、サムライの使用権を持つ日本人として、0点ではないかと思います。


(2)へ、つづく 


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