食べたノート in札幌
早朝のまちとモーニング
AM 4:30、起床。
まだ寝ていようか迷ったが、変に目が覚めてしまって寝付けなかった。
カーテンを開けると、まだ外は真っ暗だ。
何もすることもないので、折角だからとAM 5:00、散策に出かけることにした。こんな時間に起きるなんて私にしては珍しいこともあるものだ、などと思いつつ手短に身支度をする。
持ち物はカメラ、お財布、ノートとペン、それだけだ。
ホテルを出ると、まちはまだ寝静まっていた。
昨日見た商店街の人通りの多い賑わった様相とは一転し、響くのは自分の足音や、ある種不気味にも聞こえる24時間営業店の陽気な音楽などだった。
あまりに変貌したまちの表情に驚きつつ、その静けさに息を飲む。
早朝の凍える寒さが、その静まった雰囲気と相まってより一層深みを増しているようだ。
「ちょっと怖い」そんなことを思い、ほんの少しだけ明るくなっている空の方向に進むことにした。
太陽の方向に進むなんて、現代っぽくなくてなんかいいな、なんて思いつつ。
すると、見覚えのある景色が見えてきた。
昨日海鮮丼を食べた二条市場だ。「市場が起きるところを見てみたい」ふとそんなことを思い、市場が見えるベンチに座って1時間行動観察をした。
賑わい、活気溢れる側面とは違う表情の市場を見るのも、また面白かった。
そんなことをしていると、まち全体に朝日の光が包む時間になった。
犬の散歩をする人や、観光客と思われる人もポツポツ増え、カラスばかりだった公園にハトが現れた。
「まちが起きつつある」そんな気配を感じ、なんだかとても満ち足りた気持ちになったのだ。
その後もぶらぶらと歩いたり、市電に乗ったりして時間を過ごし、あっという間にAM 8:00 の「朝」だ。
満ち足りていないお腹を満たすため、喫茶店でモーニングを頼んだ。
「モーニング」。
普段気にも留めないこの言葉の響きが、今日はいつなく特別に聞こえた。
冷えきった体に温かい珈琲を浸透させ、店が開いて間も無いのに満席な店内を見渡す。
早朝の、あの時間。
まちが ”何者かになろうとしている” 瞬間の狭間に、私はいたのだ。
「おはよう」
「おはようございます」
行動観察の途中、散歩中のおじいちゃんと掛け合ったこの言葉を思い出しながら、分厚いトーストを頬張った。
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