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4GBのロマンス

GRⅡというカメラを借りました。
かなり大切に、でもたしかに使い込まれたビジュアルと、微かなタバコの匂い。
「SDカードも入ってるから、好きに使って」
と彼は言う。
4GBのSDカードが中に入っていた。

ボケたファーストセルフ(GRⅡ)

なんで「彼」なんていうあやふやな言い方をしたかって言うと、もうなんて呼んだらいいかわからないから。

気持ちが冷めたりなんてことも一度もない。

ただ、お互いのタイミングが悪かった。
そんな言葉でも片付けたくない。

余裕がない同士が付き合ったとて、それはどっちかが、いや、どっちもが倒れてしまう。

でも、
彼は、様々な余裕がない中で、私に時間を割いてくれていたのだろう。
でもそれはわたしも同じで、
気持ちも同じだったのかもしれない。

わたしのどこが好き?というつまらない質問に対して、彼は言ってた。
「2人なら、新しい世界に行けるんじゃねぇかな」って。
わたしも、わたしもそう思うよ。

わたしが、子供すぎるんだ。
容量のないSDカードみたいに、いつもパンパンで、本当に、ごめん。

私たちは遠慮しすぎていたね。

もっと、話し合えたら、とか
もっと、自分が余裕のある人間だったら
そう言ったダサい言葉たちがわたしのまわりを回っている。

わたしたちなら
新しい世界に行けたと思うよ。

一緒に新しい世界に行きたかったよ。

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