サンタクロース
クリスマスイブの月曜日。
普通の休日として過ごしていた私は昼間息子とファーストフードに入った。
席を探すときに、白い髭を生やした老人がいた。
席に着いた息子が「ねぇあの人のお髭長いね」と言うので、
私は声を潜めて「サンタクロースかもよ」と言った。
息子はちょっとだけ目を輝かせた。
その老人はよく見るとあまり身なりがきれいでなく、
ホームレスかもしれなかった。
勝手にサンタクロースにしてしまった。
夜寝る前に息子は「今日サンタクロースかもしれない人居たね」と言って眠った。
サンタクロースかもよと言った後ハンバーガーを食べながら、
ふっと脳裏に昔のことが思い浮かんだ。
私が池袋のスペイン料理屋で働いていたとき、
クリスマスにはサンタがやってきた。
白い髭をたくわえた常連さんがいて、毎年この日にはサンタの格好をして
食事をしにきてくれるのだった。
そして店員みんなにクリスマスカードをくれた。
スペイン語で"Feliz Navidad"メリークリスマスと書かれたカード。
確かあったはずと、家に帰ってから探すと3枚出てきた。
粋なおじいさんだった。
今はもうその店も無くなってしまったけれど、
あのサンタさんは今年もいろんなお店を回ったのだろうか。
あのときすでにおじいさんだったけれど、
まだ元気に美味しい料理店を食べ歩いていてほしい。
これはサンタクロースにもらったクリスマスカードだから、
さっき置いた息子のクリスマスプレゼントに添えておこうか、
といま考えているところ。
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