日常的ミュージカル

今年に入ってから、隣近所を気にせず音を出せるような家に住んでいる。
そうすると自然と茶碗洗いや料理をしながら歌っていたりする。
木造で隙間のある家のときも軽く歌うことはあったけど、今は本気で歌ってても問題ない。
あんまり本気で歌うと息子から苦情が来るので、あまり出来ないけど。

夕飯を作りながら隣の部屋の息子に話しかけるときに、反応がなかったりすると、たまに歌ってみたりする。
そのとき息子が観てるアニメの替え歌だったり、私が台所でかけてる音楽の替え歌だったり、適当なメロディだったり。

息子が好きな餅が焼けたときには、刈干切り歌のような民謡調で知らせる。
モチがやけたよ、と知らせるにはこの曲調が一番だと思う。

ついこの間夕飯を食べていた時、おかわりをしたい息子が、そのとき流れていたポケモンのエンディングに合わせて“おかわりをちょうだい“と歌ってきた。私も歌で返そうかと思ったけど、丁度音楽が終わったところだったので普通に”いいよ”と返事した。すると息子が、”歌でかえしてくれると思ったのに”という。私も、今のは歌で返す場面だったなーゴメンゴメン、と思いながら歌で返事しなおした。

そこでハッとした。あれ、歌でやり取りするのが当たり前になってる。

突然歌いだすミュージカルっていうものは、非日常のエンターテイメントの世界のことだと思っていたけど、いつのまにか、ナチュラルに日常の中でやってるではないか。私からは遠い世界だと思っていたことが、今この生活の中にある。

これは今息子とふたりだから起こった現象だと思う。
もし他の大人がいれば、何かを伝えるときに私は歌いださなかっただろう。
私が一人の場合も、当然ながら歌にのせて喋りはしない。
相手が子供だから成立する。

日常のなかで歌い出す自分がいる、という発見。
これからも私は歌って話しかけるし、日常的ミュージカルは続くだろう。

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