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20nmの壁を超えて:生成AIが求める次世代半導体技術

お疲れ様です。

昨今の生成AIブームにより、高性能な半導体チップがますます求められています。

では、そもそも「性能が高い半導体チップ」とは何を指すのでしょうか。それは、より少ないエネルギーで、より高速に演算できる能力を意味します。

これを実現するために、回路の微細化が重要な要素となります。回路を微細化することで、電気が流れる距離が短くなり、消費電力が下がり、処理速度が向上するだけでなく、発熱も抑えられるため、エネルギー効率が向上します。

半導体の微細化において、回路の微細化具合を表す指標として「プロセスルール」というものが用いられます。これは、それぞれの回路の導線がどれほど近くに配置されているかを示すものです。

このプロセスルールは、継続的な研究開発によって縮小が進められており、2000年代初頭には100nm程度だったものが、2014年ごろには20nm程度まで微細化されました。

しかし、半導体業界はここで大きな課題に直面しました。プロセスルールが20nmを下回ると、電流が回路を飛び越え、他の回路に移動してしまう現象、いわゆるトンネル効果が顕著になり、回路の制御が困難になったのです。これは日常的な常識では理解しずらいですが、量子力学の現象で、小さなスケールで顕在化するものです。

このため、平面上に微細なトランジスタを配置するという従来のアプローチは限界に達しました。

そこで登場したのが、回路を立体的に配置するという新しいアプローチです。これにより、20nmを下回る微細な半導体の製造が可能となり、技術としてはFinFETやGAA(Gate All Around)などが用いられています。

ここではFinFETやGAAの詳細には触れませんが、プロセスルールが20nmを境に半導体チップの構造が大きく変わるという点が重要です。

2024年8月現在、最新のチップではプロセスルールが3nmを達成しており、最先端の研究開発では2nmのプロセスルールを目指しています。

製造面では、プロセスルールが20nmを超えるかどうかで製造プロセスが大きく異なります。そのため、20nmのチップを製造していた工場では、最新の3nmチップの製造が難しく、設備の更新が必要となります。これには新工場を一から建設するほどの費用がかかります。

また、半導体チップは進歩が激しく、新しいチップが次々と登場するため、せっかく新工場を建設しても、その製品の需要が下がるリスクが常にあります。このため、半導体業界では、設計専門のファブレス企業と製造を担うファウンドリ企業に分業化が進んでいます。

中でも最大手のファウンドリであるTSMCは、常にこのリスクを抱えています。

日本の熊本にTSMCの工場が誘致されましたが、第一工場と第二工場を合わせて日本から約1兆円の補助金が投入されており、TSMC側としては「熊本工場で製造している半導体チップの需要が落ち込んだ場合でも工場の経済性が担保される」という安心感があると推測されます。

まとめると、半導体チップの進化は微細化の歴史であり、プロセスルールが20nm前後で構造が大きく変化し、それに伴い製造技術も大きく変わるということです。

AIの理解を深めるためには、半導体チップについての理解が不可欠であると改めて感じています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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