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Vol.32 120%の子

病院で5年間看護師として勤めたあと
保育園の看護師になった。

0才児をある人数以上預かる保育園は
看護師を一人配置する決まりがあり
その枠で保育園に就職した。

小児科に勤務したことはないので
子どものことは全くわからなかったけれど
面接受けたらOKがでたので
飛び込んでみることにした。

保育園の看護師は
基本的には0才児の担当。

1才未満児から1才代の
かわいい赤ちゃんにかこまれ
大変だったけど楽しかった。

子ども好きというわけではなかったけれど、
どの子もみんなかわいかった。

そして私なんかより
ベテラン保育士さんのほうが子どもに詳しい。
本当にいろいろなことを教わった。

14年在職したのでいろいろな子どもをみてきた。

そして自分も結婚して妊娠した。

子育てに自信があるとまでは言わないけれど
不安はあまりなかった。

そして始めての出産。
男の子が誕生!

うれしい!!

という気持ちはつかの間で
この日から、私の一人の時間というものが
全くなくなった。

息子は生まれてでてきた瞬間から
抱かれていないと泣いた。
大泣きした。

抱っこで眠ったと思ってベッドに置くと
5分くらいで目を覚まして泣き出した。

とにかく抱いてないと泣く。

家事も一切できない。
24時間抱いている状態になった。

ハイハイで歩けるようになっても
私にべったり。
くっついて離れない。

ごはん作らないと
そうじしたい

そんな基本的な家事もまったくできない。

ちょっとでも離れると
震えて泣いて追いかけてきた。

仕事で離れている時間が多いけれど
それ以外はとにかく息子をくっつけていた。

こんなに愛情注いでいるつもりなのに
なんでこんなに泣くんだろう。

保育士さんに相談したら

「120%の子なのかな?」

と言われた。

120%の子?
100%の愛情でも足りないってこと?

前世で虐待でも受けたのかな?

本気でそう思うほど
息子は私から離れなかった。

私は結婚したのが33才。
息子を生んだのは35才。

それまでの独身時代は
自由に、やりたいことをやりたいときにやっていた。

20代の頃は
子どもと公園で遊んでいる家族をみて
何が楽しいのかな?
本気でそう思っていた。

両親の不和で育ったので
結婚が幸せではないことがわかっていたし

人と距離を置いて
ひとりの時間をゆっくり楽しむのが好きだった。

でも、友達がみんな結婚して
遊んでくれる人がいなくなり

気づくと彼氏もいない。
友達は家族ができて遊んでくれない。

ヤバい。

さすがに寂しくなってきた。
両親からは「結婚しろ」の圧力が強い。

どうしよう!
このまま結婚できなかったら?
年齢的にも出産を逃してしまったら
子どもがもてない。

とてもとても焦った。
焦りまくった。

そんなときに知り合った
いかにもモテなさそうな男性。

この人なら結婚してくれるかな?
父のような浮気の心配はなさそう。
優しそう。

そして付き合うことになり
無事に結婚できた。

何が言いたいかというと、
なかなか結婚できなくて焦りまくったから

家族ができたことをありがたく思うし

保育園で子どもと接していたおかげで
子育ての大変さはだいたいわかっていた。

だから
泣いて一時も離れることができない息子を
受け入れて育てることができたんだと思う。

家族の不和で育ち
家族を持つことが幸せだと思わなかった
孤独を愛する私が

家族を大切にして
育てにくい息子を一生懸命育てることができたのは

保育園での経験と
ひとりはやっぱり寂しい。
心底そう思ってから結婚したから。

人生で起こるすべての事は
自分に必要な経験なんだな~。

長くなってしまったけど
言いたかったのはこれでした。

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