【SONY WH-1000XM4:1週間使用レビュー】

ある日、SONY WH-1000XM4を買った。

そもそも、私は熱心なApple信者だったので今までソニー製品というのはどうにも縁遠い、何なら敬遠していたまであるのだが、先日ある機会に1万円台のノイキャンヘッドホンを入手する機会があり、使用してみたところ非常に感銘を受けたのが事の始まりであった。

私の知っているノイキャンヘッドホンの記憶は5年以上前で止まっていたし、AirPodsProを購入してからは、身の回りがApple製品で囲まれていたこともあり、ワイヤレスならこれで十分と高をを括っていた。
しかしそのエントリーモデルのノイキャンヘッドホンを使用した時、私は非常に驚いた。「音良いなこれ」

周知の通り、AirPodsProは中高音域がクリアで悪く言えばちょっと音がペラい感じはするのだが、それを踏まえても1/3以下の価格のヘッドホンに音が負けているわけないと思っていた。(実際は音が負けていたというよりは、価格帯の割に想像以上に良かったということであり、ハウジングの大きさやチューニングの偉大さを改めて知った。)

そこで思ってしまった。「エントリーでこれならハイエンドはどんなものなのか…」
気づいたあとはもう止まらなかった。ノイキャンヘッドホンといえばSONY XMシリーズ、3も考えたけどここは4でしょということで、速攻でポチった。

ようやくここからレビューになる。前置きとして、私はオーディオに関しての専門性は無く、細かな音の批評には主観を伴い、多くの人が感じる感想とは異なる場合があることを明記しておく。
またNCヘッドホンはこれが2台目であり、初心者であること、比較には基本的にAirPodsProを用いることも追記する。

【装着感】
(以後のレビューでも同じことが言えるが、先代モデルのxm3やほかのNCヘッドホンとは所持していないので比較ができない。その上で)装着感については、非常に優しいと感じた。
この優しさ(=緩さ)は意図的なもので、長時間の使用に耐えうる装着感であると思う。普通に使用する分には、長時間装着の痛みなどはほとんど感じられないし、先代から10%程度大きくなったというイヤーパッドも非常にふわふわとしてつけ心地がいい。
ただ、それに伴ってか、仰向けの状態から起き上がったりする際などにはずり落ちそうになる場合がある。

【音質】
ざらつきのない、全体的に滑らかな音質であると感じた。その上でワイヤレスオーディオ特有のドンシャリ感が抑えられていて、低音から高音までハイクオリティな音が楽しめた。その上で、ワイヤレスイヤホンにはない大きなハウジングから出る低音の主張や音圧はたまらないものとなっている。AirPodsProももちろん悪いイヤホンではないのは承知だが、その上で、よく聞く楽曲にまるで「一音(一楽器)増えた」かのような感覚を感じた。
ただ、チューニングの意向の差であるとは思うが、ボーカルがやや奥まっている印象を受けた。
このクオリティの音をワイヤレスという手軽さで使える、それだけで十分価値のある製品であると感じる。

【ノイズキャンセリング】
何といってもメインの機能の1つがノイズキャンセリングだろう。
アクティブノイズキャンセリング(以下、ANC)の実力の前に、まずはパッシブノイズキャンセリング(以下、PNC)について。
パッシブノイズキャンセリング、いわゆるノイキャンを用いない装着状態での遮音性のことだが、これについても必要十分な性能であると感じる。そもそもそれが効いていないとANCは意味をなさないからだ。
さて、ANCについてだが、これもAirPodsProと同等以上の性能であると感じる。AirPodsProはカナル型という性質上、PNCが十分に効いている上でのANCであるが、xm4も大きなハウジングによりカバーできる音域が広く、ANCを有効にして音楽を流せば90%以上の音は気にならなくなる。
また、外部音取り込みモードについて、これはやや控えめであると感じた。AirPodsProが外部音取り込みモードでの音の増幅具合を任意に設定可能なのだが、その設定の中央値よりも外部音の聞こえ具合は控えめであると感じた。コンビニの店員がハキハキ話してくれるならいいが、ちょっとでも小声だとxm4の外部音取り込みモードでは厳しいかなと感じた。そのため、結局ヘッドホンを外すことになると、以下記載の【Speak to Chatモード】や【クイックアテンションモード】が生かしきれなくなってしまうと感じた。


【ウェアラブルデバイスとして】
私が数あるノイキャンヘッドホンの中でxm4を採用したのかには、ウェアラブルデバイスとしての強みを感じたからである。私の耳はどこまで行っても人並みだし、極論を言えば当然有線ヘッドホンの方が音質も明らかに良いと思う。ヘッドホンをワイヤレスで用いる以上、私としては、音質と同じ程度にはウェアラブルデバイスとしての機能が大きな要素として占めているのである。
ただ、その機能のひとつひとつについて細かく話していては長くなるので、以下に端的に各機能についての感想をまとめた。

・遅延
大きくは感じない。一昔前のBluetoothならいざ知らず、YouTubeや映画を見る程度であればほぼ気にならないと感じた。音ゲーに関しては、僅かに遅延を感じるので、プレイが不可能というほどではないが、精度は出ないと思う。ただxm4は有線接続も可能なので使い分けが可能という点については評価したい。

・充電
ANCオン状態で連続再生時間30時間との使用表記だが、十分であると感じる。AirPodsProが4時間程度と考えると7倍以上の駆動時間である。1日中使っても十分な電池持ちであると言えると思う。

・マルチポイント接続
この機能が買いの決め手であったといっても過言でなはい。煩わしいペアリングの手間を大幅に軽減してくれのは、複数のデバイスを扱う私にとって非常に助かる機能となっている。ただ、同時接続可能台数が2台までなのはやや残念に感じる。私はiPhone・iMac・iPadと常用するデバイスが3台なので、微妙に物足りない性能となってしまっている。

・Speak to Chatモード
どのような機能かは公式の製品情報を参照してもらうとして、私には不要な機能であった。
ANCのオンオフや外部音取り込みのタイミングは自分で判断して行いたいし、それぞれを切り替えるのに大きな手間を必要としないので、使わないという結論に至った。

・クイックアテンションモード
Speak to Chatモードを使用しないもうひとつの理由はこれである。右側のセンサーに手をかざすだけで、一時的に外部音取り込みモードになるという機能だが、前述の通り、外部音の増幅が控えめなので結局ヘッドホンを外してしまうことも多い。
結果的にこちらも私の中では常用はしない機能となってしまった。

・アダプティブサウンドコントロール
こちらも機能については公式参照。結論から言うと、現状使用しない機能に止まっている。というのも、上記にもあるとおり、ANCのオンオフや外部音取り込みのタイミングは自分で判断して行いたいので、場所や環境によって自動的にANCの度合いが変化するのは必要内機能であった。ただ、交通の安全面に配慮して、他のxm4ユーザーの方々はぜひオンにしておくのが良いと思われる。

・イコライザ
公式アプリに内蔵されているイコライザについて、私はイコライザは基本的に使わないのでイコライザの良し悪しについては判断できないのだが、種類や変化感ともに十分なのではないかと考えられる。

・DESS Extreme
これはオンにした瞬間、音の厚みがグッと増した感じがするので、私は基本オンにしている。アップスケーリングの精度については、これが初めてなので何とも言えないが、私もそうだが昨今のサブスクのミュージックサービスを利用している身からすると、有難い機能であると思う。

ここまでSONY WH-1000XM4について色々とレビューしてきたが、私としては非常に満足のいく製品であることは間違いない。個人的に点数をつけるなら90/100点といったところか。
ただ世の中には色々なオーディオの選択肢があるし、その中で決め手にかけるという人も多いと思う。このレビューが迷っている人の参考に少しでもなればと思う。

2020/10/21

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