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AIと諜報:国際的な影響力と日本の立場

 AI技術は世界各国の諜報システムにも活用されています。諜報システムというと謎に包まれた陰謀論か何かと勘違いする人も少なくないので、各国の政府が情報公開しているものや、クアッドやファイブアイズのように、日本政府の諜報活動への参加の是非が、国会などで審議されていたり、日本国内の新聞やニュースで取り上げられている事例の一部を紹介します。
 
(1) エシュロン(ECHELON)
(2) ファイブアイズ(Five Eyes)
(3) ナインアイズ(Nine Eyes)
(4) フォーティーンアイズ(Fourteen Eyes)
(5) クワッド(Quad, Quadrilateral Security Dialogue)

 以下の情報には、エドワード・スノーデンが暴露した『PRISM』や、オーストラリアのジャーナリストのジュリアン・アサンジが、違法なハッキング手法を駆使して取得した情報を、彼が創設したWikiLeaksという政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイトから、世界中のマスメディアに取り上げられたものまで含まれます。
 
 ジュリアン・アサンジの活動に対しては、賛否両論ありますが、彼のWikiLeaksに関する功績に対しては、エコノミスト誌による2008年の『表現の自由賞』や、1913年バーナード・ショーら進歩的な知識人の協力で創刊されたイギリスの評論週刊紙のニュー・ステーツマン(New Statesman)誌により、2010年の『世界で最も影響力のある50人』や、タイム誌の2010年の『パーソン・オブ・ザ・イヤー』の読者投票部門で1位に選ばれており、一部のマスメディアからは、信憑性が高い情報だと評価されています。
 
 これらのニュースソース上では、各国の諜報活動や通信傍受に、マイクロソフト、Yahoo!、Google、Facebook、PalTalk、YouTube、Skype、AOL、Appleなどが協力していたことは常識の範疇であり、マイクロソフト社がNSAが通信傍受しやすいようにMicrosoftチャットの通信暗号にバックドアを仕込んでいたことも周知の事実です。
 
日本国が世界の諜報網に加盟したくても加盟できない原因

スパイ活動に対抗し得る体制の確立に関する質問主意書
 ソフトバンク元社員が在日ロシア通商代表部職員の要求に応じ、会社の機密情報を不正に取得し情報を渡したとして令和二年一月二十五日、警視庁公安部に不正競争防止法違反容疑で逮捕された。過去にも外交官や民間人に偽装したスパイによる日本国内での諜報活動が明らかとなっている。

一、憲法制約
 日本の現行憲法(特に第9条)により、外国との軍事的な連携は基本的に禁止されています。これは、戦争放棄を明記した日本国憲法が、国家の軍事力や情報力の拡大を制限しているためです。諜報活動はしばしば軍事行動や外交政策に密接に関連しており、そのため、日本はこのような国際的な諜報協力体制に参加するこを困難にしています。
 
二、情報機関の不在
 また、日本はCIAやMI6のような中央集権的な諜報機関を持っていません。日本の警察庁、公安調査庁、防衛省などがそれぞれ一部の諜報活動を担っていますが、これらの機関は連携が不十分であり、またそれぞれの機関の役割や権限が明確に定義されていないため、国際的な諜報協力体制に参加するための組織的な基盤が不足しています。
 
三、プライバシーと人権の保護
 日本は個人のプライバシーと人権を重視する文化があり、大規模な通信傍受や情報収集活動は社会的な受け入れが難しいという側面もあります。これらの諜報活動は、しばしばプライバシーや人権の侵害という問題を引き起こす可能性があるため、これらの活動に対する社会的な抵抗感が日本の参加を阻んでいるという主張もあります。
 
 日本の一部の主要メディアなどは、前述の通り日本人のプライバシーや人権に対する意識は非常に高いと主張していますが、AI無知倫理学的観点からは、この主張は必ずしも正しくないと捉えることが多いです。
 
 なぜなら、日本でもプライバシー保護や人権尊重のための法律や規制は存在しますが、それらが日々の生活やビジネスの現場でどの程度守られているか、そしてそれがどれほど重視されているかについては、疑問の余地があるからです。たとえば、SNSやインターネット上の情報の共有、企業の個人情報の取り扱いなど、日常生活の中でプライバシーが無意識に侵害されている事例は少なくありません。
 
 また、日本には『空気を読む』という文化がありますが、これは個人の意見や感情を抑制し、集団の意見に同調する傾向を示すものです。この文化がもたらす集団主義は、個々の人権やプライバシーを後回しにする風潮となっています。
 
 さらに、これまでAI無知倫理学会が繰り返し指摘している通り、日本国の政治家や官僚の情報倫理やAI倫理に関する理解度は極めて低く、経団連や経済同友会などのAIに対する理解の低さも驚くばかりです。
 
 経団連の十倉雅和会長は、NLPを説明するために、漫画家・手塚治虫の『鉄腕アトム』を引き合いにして、『ああいう世界が夢ではなくなってくる』と語っていますが、こういった発言からも、AIの具体的な機能や能力についての理解が浅いことが伺えます。

  つまり、日本国内では自分のプライバシーがどの程度侵害されているのか、またその侵害がどのような社会的・個人的な影響をもたらすのかを十分に理解していない人が、圧倒的大多数を占めます。特に、AIやデータ分析の進歩によって新たに生じるプライバシーや人権問題に対する認識や理解が著しく欠如しています。
 
 このような現状を踏まえると、AI無知倫理学は日本の政治家、官僚、経営者、有識者から一般人に至るまで、情報リテラシーと同様、現代人の必須知識と言えるでしょう。


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