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ディオールと私

ディオールと私


ディオールの新任デザイナーとなったラフ・シモンズ。完全アウェイの状況下、老舗の伝統を背負った凄腕職人たちを指揮しオートクチュール・コレクションを開くまで。繊細というより線が弱く、控え目というより押し出しの弱いシモンズ。才能はあっても、性格的に頼りなげな彼がミッションに向き合う様は、意外にも私たちの日常に重なり合う。類型的な人間ドキュメントを超えた、愛すべき揺らぎ。

(以下、宣伝の人に伝えた感想)

ゆるやかに虚をつく映画。才能豊かな存在に対するわたしたちの「たぶん人間的にも普通じゃないよね」という型通りの押しつけ概念を、するりと抜けてしまうラフ シモンズはやはりチャーミング。言ってみれば、このひとは、「才能はある。が性格的には凡庸」であって、本来、映像には不向きである、という点がすこやかな結果を生んでいる。

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