『あまちゃん』を批判する。その参。

震災一週前の「あまちゃん」はかつてないほど退屈だった。荒巻も春子も鈴鹿ひろ美も、みんな陳腐だった。狙いはわかる。わかるだけに普通のドラマに堕してしまった巻は否めない。
そして困ったことに水曜日までしか観ていないが震災週がつまらない。どうして震災を扱うとこうなってしまうのだろう。かなりがっかりである。
クドカンの限界なのか、NHKの限界なのか、日本の限界なのかわからないが、あと三週でどこまで這い上がれるのか、とても不安だ。
特に演出。
当たり前だが、小ネタが空転していて痛々しい。それこそが狙いなのかもしれないが、既視感がありすぎる。
やるなら徹底的にやるべきだったし、やらないならやらないで、このパラレルな世界では震災は起きなかった、という誠実な開き直りもアリだったと思う。
このドラマは、現実とフィクションの相互乗り入れに、特異なバランス感覚を発揮していたはずだ。だからこそ、バカ! や ブス! という、かつての国営放送にはあるまじき暴言が、ひとつのことばとして息をふきかえしていたのだと思う。
なのに、震災の前の週からドラマが萎縮している。守りに入っている。とても残念だ。

2013.9.24

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