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【TECH連載】 RCS(+メッセージ)について(1)

【TECH連載】では当社エンジニアによるテック関連のニュースを中心に記事をお届けします!

こんにちは、AICROSS開発チームの鈴木です。

以前、SMSの業務利用についての記事を書きました。

SMSの業務利用は引き続き伸びている分野ですが、さらにそのSMSの進化系の規格も登場しています。

これがRCS(Rich Communication Services)です。

SMSは標準規格であり、どんな携帯電話でも利用できるのが最大の強みですが、約40年前に制定された規格ですので、マルチメディア対応などの機能は入っていません。そこでSMSの後継としてRCSという国際規格をGSMAという団体が標準化しました。 

今回の記事では、

・RCSの特徴
・RCSの展開状況

について書きたいと思います。


RCSの特徴

RCSには、SMSにはなかった様々な機能が追加されています。

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強化ポイントを大きく分類すると、

・信頼性向上・表現力
・双方向機能の強化
・既読確認機能

になります。


まず第1のポイントとしては、信頼性です。

まず、RCSでは、送信元の表示が異なります。数字・アルファベットのみの表示だったSMSと異なり、ロゴと企業名を付加してブランディングした送信元表示を付けてメッセージを送信できます。さらに、送信元の審査もあり、審査済みのアカウントであることを「ベリファイドサイン」で表示する機能があるため、受信したユーザーは、その企業からのメッセージであることを明確に確認することができます。

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次に第2のポイントとして、表現力と双方向機能の強化が上げられます。

SMSでは、送信可能なコンテンツはテキストのみでしたが、RCSでは、画像・動画・位置情報・ファイルなどの送受信も可能になっています。そのため、より印象に残るメッセージ送信を行うことができます。
チャットボットの機能も規格に標準で入っており、エンドユーザーと対話的にやりとりをして、エンドユーザーからのレスポンスを受け取ることができます。エンドユーザーからは、テキストを打ち込んで返信してもらう以外に、ボタン1クリックで文章を入力してもらうようにできたり、あるいは、画像やファイル、位置情報などを送ってもらうこともできるので、多彩なデータを受け取る多彩なチャットボット体験を実現することができます。

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アプリやウェブサイトでもチャットボットのようなインタラクティブな体験を提供することはできますが、RCSの最大の強みは、やりとりの経緯が全てメッセージアプリ内に「残る」ことです。ウェブサイトだと、お客様とのインタラクティブなやりとりは、やりとりが終わると全て消えてしまいますが、RCSの場合は、メッセージアプリの中でやりとりを行うため、やりとりの経過が全てメッセージとして残ります。そしてその続きをまたメッセージとして続けることができるので、顧客とのエンゲージメントを永続化できます。UX体験と顧客との連絡チャネルが一体化していることがRCSの強みと言えると思います。

次に第3のポイントとして、既読確認機能があげられます。

SMSでは、送ったメッセージが端末に届いたかどうかの確認までが可能でしたが、RCSでは、それだけでなく、端末側で、送ったメッセージを開いたかどうかの確認までできます。既読がついたかどうかを分析することで配信の効果をより的確に測定することができ、有効な配信に繋げることができます。


RCSの展開状況

RCSは、このようにさまざまな強みを持っていますが、これら全てが、1企業のアプリの仕様ではなく、標準規格として定められていることが最大の特徴といえると思います。この規格を定めたGSMAという団体には、世界中のキャリアが参加しており、この規格を採用する国やキャリアがかなりの勢いで拡大しています。
GSMAのWebサイトにはRCSの使われている国や地域の一覧が表示されており、現時点で、60カ国、90のキャリアで採用されおり、まだまだ伸びています。


日本では「+メッセージ」というブランドで、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの3キャリアで展開されています。2018年5月以降に発売された、NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIのAndroid端末には、標準でプレインストールされているため、ユーザー数も着実に伸びています。2021年6月現在で、利用者数は2300万人まで行っています。

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RCS(+メッセージ)の配信を企業が行うためには、公式アカウントの審査から始まり、コンテンツ準備や送信、さらに、チャットボット体験を実現するにはチャットボットの構築なども必要になりますが、AI CROSSでは、そのために必要なプラットフォームを提供しています。

次回のポストでは、RCSの使われ方の紹介や、AI CROSSのプラットフォームについての紹介なども行っていきたいと思います。

とりあえず今回はこのへんで。

追記:続編(2)は下記をご覧ください。


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