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かつて置屋だった祖母の家を壊すことになった

これから書くのは、埼玉県北部にある母方の祖母の家と、そこに暮らした私たち親族のお話。

玄関はスライド式で屋根がついています

築100年の木造民家

祖母の家は、築100年ほどの古い木造家屋で、人が二人並んでちょうど歩けるぐらいの幅の路地と路地が交差する場所に位置する、いわゆる裏通り的な場所に建っています。

写真にある玄関から入ると、手前に古民家、真ん中に少し新しい昭和スタイルのキッチン、一番奥には「教室」と呼んでいるだだっ広い部屋がお目見えする細長い作りで、100年という時代の変遷の中で増改築を繰り返したことが分かる、パッチワークのようなたたずまいの不思議な一軒家です。

私はここに子供のころから遊びに来ていますが、祖父母との交流だけでなく、母方の親族、特にいとこたちとの時間を多く過ごしてきました。また、仮住まいとして半年間ほど暮らしたこともありました。

遂に壊すことになってしまった

30年ほど前に祖父が他界してからは、祖母が一人で守り続けたこの家。今年、祖母が旅立ったことで、三人の兄弟がついに愛着のあるこの家を壊すことに決めたのでした。

祖母が施設に入所することになり、家主が暮らさなくなったこの家を、いつか壊すことになるかもしれないとは薄々感じてはいたのですが、淡い希望で、誰かが残してくれないかと思っていたりもしました。

かつて置屋だった名残

この家には、玄関を入ってすぐに畳の部屋があるのですが、この部屋の外側に面した壁には意匠を感じさせるガラス窓があり、外には格子窓がついている不思議な部屋になっていました。

子どもの頃から何も考えずに使っていたこの部屋、よくよく尋ねると、かつて祖母が子供だった頃、この家が芸妓さんをかかえる置屋として建てられていたので、芸妓さんの支度部屋だったというのです。

この窓ガラスの手前には、何台もの化粧台がおかれ、三味線が吊るされて、ここで芸妓さんたちが準備をしていたときいたときは驚きました。

この家、実は、めちゃくちゃ面白い歴史あるじゃん!

建物が持つエネルギーをどう保存すればいいか

置屋だったからなのか、100年前の建物だからなのか、理由は分からないけれど、祖母の家が持つ不思議なエネルギーを、このまま壊すなんてもったいない。

資産価値などはほとんどないし、極めて私自身の個人的な思いでしかないのだけれど、この家が持っているパワーというか、エネルギーというか、言葉にできそうにない「何か」をどうにかして保存しておきたい私。

親族を巻き込んで「祖母の家の想いでを何とかして保存するプロジェクト」を立ち上げることにしたのでした。




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