韓国智異山

智異山 1915m は韓国第2位の山、半島南部の釜山近くに聳える。 山の会22名が遠征したのは、5月のGWだった。 夕方に大坂南港から船に乗り瀬戸内海を航行する。
さっそく甲板上でビールとワインで乾盃。賑やかにやっていると、隣の西洋人が仲間にしてしてくれと言う。大歓迎だ。ドイツ、オーストリア、スイス人の団体。私「韓国の山に登りに行く」。彼らは「私も國で登山している。愉快愉快、乾杯だ」。A氏「私はクロカンスキーをやる」と言うと、一人が「私は19XX 年のヨーロッパ大会で金メダルとった」。
「私は大回転のチャンピオンだ」、さすがスキー本場の人々だ。
金髪美人3人が仲間入り歓迎。日本語を少し話す極上の美人は春日井の中学の英語教師。 K氏は彼女らのため財布から何枚も取り出し、バーで高級洋酒を買い漁る。
上機嫌になって全部飲み干した。山の会の女性は年に似合わず若い、遅くまでランバダを踊っていた。

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早朝、釜山港着。上陸してホテルに荷物を置き、明日の登山用食料の仕入れに市場へ。韓国第二の都市は活気が溢れ賑わっている。市場で中年の女性が流暢な日本語を話す。
「私は戦前に奈良高等女学校を卒業した」。裕福な家庭に育った。日本が懐かしいと言う。
日本から持参した即席コーヒーを喫茶店に売って儲けた。韓国のは品質が悪いので日本製が喜ばれる。翌日の食料や嗜好品を市場で買った。日本の6割ぐらいの物価である。


翌日、マイクロバスで登山口へ移動。途中の田舎の売店で手造りキムチを22人分購入、総額たった200円。
滞在中なんどもキムチを食べたが、このキムチが最高だった。智異山の登山口に北朝鮮のゲリラが潜んでいるとの注意書。山の様相は御在所岳に似ていて緑と水も豊かだ。

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中腹の山小屋は管理人がいるが素泊りだけだ。
韓国兵の一団が先客。将校は家の中でバクチをしているが兵士は外でテント泊。私たちの即席カレーをうまいうまいと食べてくれた。
翌日、最高峰の天王峰にむけ出発。韓国兵も一緒に登る。ラジオで音楽を聞きながら鉄砲を担いで登る兵士に驚く。足元に残雪が出てくると、すぐ
最高峰 1915m に到着した。ガスが晴れて展望がよくなった。
だが寒いので長居はできない。下りは別ルートで下りる。

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午後3時すぎに下山口着。回送のバスに乗る。すると韓国の若者グループが 「定期バスに乗り遅れた同乗させて…」。
若い女性もいてOK。釜山大学の学生だ。バスの中で残り物の焼酎、ツマミで国際親善の宴会がはじまった。女性も化粧してないが綺麗だ。
「貴女はミス・プサンか」というと、耳まで真っ赤になり恥ずかしがった。 古い城の下を通過したとき、

「あの城の塀の焦げ跡は秀吉軍が侵攻のときの跡だ」
という。そのとき一人の芸妓(キーセン)が日本軍の武将を抱えて前の川に飛び込んだ。この芸妓は韓国の英雄になっている。大学生は「いま経済発展で日本に負けているが、10年後は日本を追い越してみせる」と言った。
いま思えばそれは当たっていた。 

まだ竹島問題の軋轢もない良き時代の山行だった。

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