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山で地震

2011年12月14日午後1時1分、小牧市最高峰の天川山に登った。昼食後に記念写真を撮影しようと並んでいたとき、ゴロゴロッと震度4がきた。震源は岐阜県東部だった、幸い被害はなかったようだが、登山中に大地震に遭遇したのは2007年4月15日が最初だった。
この日は絶好の晴れ、近鉄湯ノ山温泉駅から地元の岳友車で朝明渓谷駐車場へ。全員3名の高老年が歩きだす。目的はニ子山 822m。この山は遠くからみると双耳峰で登高欲をそそられる。
長年の夢を果たす日だ。空気は肌寒く心地良い。ハト峰まではトラバース道を話しながら登る。


やがて「白滝谷へ」の道標がある稜線に出て小休止する。つぎに白滝谷沿いを下るが、以前きたときとかなり印象が違う。樹木が落葉しているのと沢の水が少ない、それに沢全体がV字状にえぐれている。ところどころ高巻きしたりトラバース、路肩が崩れている箇所もある。中流にアカナメという美しい赤い岩のナメ床があるが、そこを過ぎたあたりで左岸へ渡る。

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二子山へのとりつきは小沢をつめる、伐採された枝が沢芯を埋めとても歩けない。やむを得ず横の山腹を急登するが、勾配が急なうえ土や砂や岩が足元からゴロゴロ崩れ落ちる。掴んだ木の根っこが抜けるなど、老人にとって大変な労働となった。
ようやくニ子山の北峰に登りついた。12時15分だった。
汗と拭って周囲の眺望を楽しもうとしたとき、突然ゆらゆらッと大地が揺れるではないか。これはオカシい。 
心筋梗塞にでもなったのか…。とっさにそう思ったが、瞬間ゴロゴロッ! ドドドッ!
轟音とともに再び大地が揺れている。
“地震だッ”
3人は絶叫して大地に這いつくばった。そのとき向かいの山の斜面から岩がごろごろ落下し、白滝谷へ消えていった。
私たちは顔を見合わせ
「山頂へ着くのがあと5分遅かったら、岩に飛ばされたかも知れんぞ」 
と顔面蒼白になったのだった。

やがて気が落ち着いたので昼食をとり、この尾根を県境主稜尾根ま
で登りだした。アップダウンがきびしいが、地図とコンパスと地形確認で迷うことなく主稜線に戻ってこられた。だが長い登山経験のなかでも山中で地震に遭遇したのは初めてだ。
朝明へ下山途中に携帯電話をかけても接続できない。だが幸いにも娘から連絡が入り、亀山地方を震源とする震度5強の地震と判明した。近鉄ダイヤも大幅に乱れ、名古屋帰着が夜の10時、自宅へは午後11時だった。

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