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「助けを求め伸ばした手を、掴んでくれるのを待ってた」(中編)の巻

校庭に出たムスコは、元気よく走り出した。
この広い校庭を見たら、走りたくなるわな。

校庭では、大きな円が描かれていた。
なんとなく円に沿って、大きなひとつの人の輪ができていた。
児童会の役員の子たちが司会進行をし、イベントが始まった。
SDGsを学び、今できること、これからのことを学年で考え、代表者が発表してくれた。
未来に向けて思いを馳せ、その思いを風船に託し放つ。
学校、児童、PTA、未来の会(地域ボランティア)で作り上げたイベントのようだ。

カウントダウンし、一斉に放たれる風船。
雲一つない青空に昇っていく。
カラフルな飴玉を空にバラ撒いたようで、とてもとても美しかった。
この時点でムスコは、いつもの調子を取り戻していた。

この後の予定はない。
せっかく来たから、未来の会の方にご挨拶だけでも…とお話をさせてもらった。
小規模特認校を地域で支える「輝け!東清小未来の会」をInstagramで知って、この学校へ来たのだ。
仕事や住まいもサポートしてもらえるなら、力を貸して欲しい。
けど、何から話そうか…その気力も今はとても弱っていた。

Instagramで発信されている嶋田さんと、会長夫妻とお話ができた。
「仕事がある」とのことで嶋田さんとは連絡先を交換し、会長夫妻に学童の話を聞かせてもらった。
学校内にある畑を見せてもらいながら、おしゃべりをする。
この会長さんが、とても面白い人だった。
この時に「小規模であれば、周りに埋もれることなく自分も活躍する場面が出てくる」「生きる力をつけられる」とおっしゃった。

「生きる力」
ムスコが登園拒否になってから、社会に矛盾を感じ、何をムスコに残したいかを考えるようになった。
失敗したって大丈夫!
壁にぶつかっても、考え、試し、失敗し、納得のいく答えを自分で見つければいい。
今の時代は、失敗を許す余裕が足りてないように思っていたのだ。
人と違って良い。人と違うから面白い。
心の余裕がある場所を、私は探していたのだ。
なので、この言葉をここで聞けたのは嬉しかった。

お腹が空いたとムスコが言うので、学校をお暇することにした。
帰り際、教頭先生も出てきてくださり「3度目のご縁がありますように〜」と言ってもらい、「私も強く思います」と答えた。

学校の近くでご飯を食べることにした。
台湾料理の店があるらしく、向かっていると…
先程の会長夫妻から「お昼、ご一緒してもいいかしら?」と声をかけてもらい、お店まで車に乗せてもらった。

昼時で席がなく、別々に食べることとなった。
ドリンクバーがあり、ムスコはドリンクを入れに行っては会長夫妻のテーブルでおしゃべり。
ムスコを邪険にすることなく、楽しそうに話をしてムスコは満足そうだ。
食べ終わった頃、奥さんが「この後の予定は決まってますか?」と聞きに来てくれた。
特に決めてないんです〜、と駅前に戻って図書館でも行ってみようか?など話していた。

その間、ムスコは持参したゲーム機を会長さんに自慢げに説明している。
その姿がお爺ちゃんと孫のようで、妙に馴染んでいる。
今日、初対面のようには全く見えなかった。
本当の爺さん達より、ムスコは可愛がってもらっているように思えた。
我々も会長夫妻に甘えても良いかな?という気になり「木更津駅前までお願いします」と、再び車に乗せていただいた。

長くなりましたが、今回を中編とします。
後編はもっと長くなりそうです。
覚悟しておいて下さい!




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