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ルールブックver00とパラダイスエアでのトークについて記録2019/12/17

ルールブックver00とパラダイスエアでのトークについて記録2019/12/17
scene1

「プロジェクト やさしい隣人について」ver00
偶然(理不尽)な美術との遭遇。アップデート可能なプロジェクト。
 話をする。粘土をこねる。彫刻をつくる。複製される。市場に出る。出会う人々とのコミュニケーションに粘土を介在させます。粘土はウチダという作家に引き渡され、観察され、複製され、市場に出ます。これらは一般的にアート、と呼ばれるものが辿る工程を無理やりおえてゆきます。複製の部分では、陶器の像のエディションが3つ作られます。1つは粘土をこねた本人へ、1つはウチダ保存、1つは何かしらの形で市場へ。粘土をこねた本人は、偶然的に作家となり、同時にコレクターにもなります。市場では、オリジナルの制作者やストーリーなどは明かされず、繭のように詳細が封印された彫刻のみが売られます。購入者のみ、単純な情報が解る仕掛けを作れたらいいなと思っています。
やさしい隣人は、祖母が認知症になってきたことを受け入れたとき、彼女とのコミュニケーションの中でわたしができることはなんだろうと考えたことで生まれました。言葉が不自由になってきた時、手は確かに何かをつかもうとして、粘土は形を与えられてきます。そして、わたしが作家であることで、他者とのコミュニケーションで美術を考え用いること、それらがわたしの役目なのではないかと思いました。

30年後、あるいは100年後、これらの像はどのように存在し続けるのでしょうか。民話、神話、噂話、伝説、思い出。食器棚に飾られることもあるかもしれません。匿名ではなくなっているかもしれません。わたしの体の一部のように世界に散らばった像たちがどのようにたたずむのか。いまからこのプロジェクトを進めるにあたり、考えが止まりません。

scene2
Q1 今まで蛾という作品を作っていましたが、それはどう繋がりますか?
A1 例えば蛾という生き物がある意味とても具体的で、個としても多くの情報を持っているとき、繭という膜はそれを覆い隠す匿名であると思いました。
そこで、自身の作品として、匿名、所謂繭のこと(外側と内側のこと)を考えてみようと思いました。優しい隣人で仕上がる作品は、私が制作する過程でセッションした他者はウチダリナというパッケージに覆われてしまいます。
蛾でいうと、卵から繭になり、蛾と姿を変化させていく様子は、私が他者と出会い、対話し、作品を吸収し、生み出していく様子と似てはいないでしょうか。今までそこまで気にしていなかったのですが、蛾というのは私にとって物を理解し易い生態をしているのかもしれません。

Q2 どうやって売るのでしょう?
A1 NOTEがいいのではないかとう話をパラダイスエアの森さんとしています。正直まだどの方法がいいのかわかりません。展示ごとに売っていくのがいいのかなという反面、NOTEなどの過去のアーカイブでみることができる形式がいいのかもとも。また、NOTEだと、一体にまつわるストーリーは買うことによって閲覧が可能で、それには陶器の像が買える値段がついている。その方には像をお送りする。というのがいいのかもしれません。

Q3 オリジナル(こねてもらった粘土)はどうするのでしょう?ちょっと理解しづらいかも。
A3 これについてはトークの後にルールを書き換えました。Ver01では
Ver01へのアップデートにあたって、粘土を陶芸用の粘土にし、1つのオリジナルの造形を何人もの人が同じ粘土を変形させながら作っていくようにしようと思っています。
ひとりの人がこねる→私がデッサンする・模刻・複製を作る→次の人は前の人の粘土を引き続き手を加えて作る→私がデッサンする・模刻・複製を作る→延々と 2019/12/25
という考え方にして見ました。4回ほどの制作で、こちらの方が記録としても面白いものになっていると感じます。

Q4 松戸とは関係ないかも?
A4 はっきり申し上げるとそうかもしれません。しかし、どういうきっかけで、いつ、始めるか、は私にとっては重要でした。
祖母の認知症がガクッと進んだ時、本当に何かしたいと思いました。また、アトリエ新松戸への恩返しとして、なにか一緒にできるチャンスだとも思っています。

http://paradiseair.info/news/2020/01/09/10713
paradise air
work in progress
Lina Uchida


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