私の研究の紹介

自己紹介文に脳科学者を自称しましたが、具体的に何をやってきたのかお話をします。論文論文って偉そうに言うけれど何が書いてあるのか、ちゃんと素人にもわかるように説明してよ、という声が聞こえてきますので、そこを意識しながら少しずつ話をしていきます。そのさい、はじめから、途中でも、大きく横道に逸れて無駄話もしていきたいと思いますのでご勘弁ください。
 脳科学、神経科学、脳神経外科、神経内科、・・・、「脳」と「神経」という言葉は別々に使われたり、「脳神経」という合成語が使われたりしています。専門領域では、中枢神経系、末梢神経系という用語を使います。中枢神経系は、頭蓋骨や脊柱とよばれる硬い骨からなる容器に保護されていて、あたまにある部分を「脳」といい、くびからおしりにかけてある細長い部分を「脊髄」といって、この二つからなります。末梢神経系は、からだのすみずみの筋肉や皮膚などの臓器や組織と中枢神経系のあいだを連絡する電線ケーブルです。従来、「神経」はこの末梢神経系に属する電線ケーブルのことを表現していましたが、中枢神経系とつながっているので、専門家でも「神経」は中枢神経系内の電線ケーブをふくめて使用しているようですが、専門用語にこだわるひとは、「伝導路」とか「神経路」という用語を「神経」と区別して使っています。
 以上の話は本質的にはどうでもよいことなのですが、要するにからだ中に電線ケーブルが分布して、その電線に沿って電気活動が行き来していること、「神経」とか「神経路」とかいう人為的な区別をこえて、電気活動が「振動」という表現形で観測されるときどんな現象に相関していて、それはどういう生理的意味をもちうるのかということに注目して私見を軸に述べていきたいと思いますが、先は長いので無駄話をまじえつつ・・・。
 先に宣言した神経回路網の「自己再帰性と同期振動」というテーマを巡って、横道に入りながら、ゆっくりと歩を進めていきたいと思いますので、お時間のある方は、どうぞお付き合い願いたいと思います。

つづく。

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