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相棒 第11話「右京撃たれる 特命係15年目の真実」感想

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感想を読むのも勿体ないです!

この話を知れば今の『相棒』が100倍面白くなります。
特命係の始まりと、杉下右京という天才が何故窓際部署にいるのか…

【あらすじ】

特命係が廃止されることになった。
右京は警察庁へ復帰、は運転免許試験場への配属が決定。
納得がいかない薫をよそに、右京は警察庁・官房室長の小野田のもとへ出かけていく。

脚本:輿水泰弘
監督:和泉聖治

(公式のあらすじ短いな…)

【ゲスト】

石嶺小五郎(演:森本レオさん)

元緊急対策特命係の隊員でかつての小野田と右京の部下。

説明は少ないけど、森本さんの哀しみを内包しているお芝居で今回の物語が成立している。
後にS17「辞書の神様」で別役再登場されていてこちらも素晴らしいお芝居をされている。
ただ個人的には石嶺小五郎でまた再登場して欲しかった…

【感想】

《鈍った腕》

今回は右京が撃たれるっていうセンセーショナルさはあるが、次回への繋ぎとこれまでの伏線回収がメイン。

事件も推理モノではなく、石嶺が小野田への復讐を果たそうと動いているサスペンス形式なのでハラハラ感くらいしか語れる点はない。
そのハラハラ感も過去回想が多く尺不足で石嶺が登場するのも煙草を吸う場面と右京への面会のみなので官房長へ近付いていく恐怖も無い。

それ以外にもツッコミどころがあり、緊急対策特命係のメンバへの思い入れ強すぎだろって事。
この部隊は人質籠城事件で小野田が急遽集めた超法規的な組織で、今回が初任務でもある。
そんな仲間意識や信頼関係が構築されてない段階にも関わらず無駄死にさせた事に対する復讐心を15年以上持ちづけていたのには理解が追いつかない。
特命係に飼い殺しにされ続けた右京さんが復讐を企てるなら理解できるけど、石嶺さんは口止め代わりに決して悪くないポジションになったんでしょ?

もしかしたら死んだ隊員達と石嶺は緊急対策特命係配属前からの付き合いで、例えば同期で仲が良かったとか、尊敬する先輩だったとか、可愛がっていた後輩だったのかもしれない。
もしくは以前から小野田の事を慕っていて今回の事件で裏切られた気持ちもあったかもしれない。
でも彼等の関係性の深掘りがないので推測しか出来ない。

ただ、不足要素を補って余りある程に石嶺を演じる森本さんのお芝居が素晴らしい。

石嶺さんはずっと仲間を小野田のせいで犬死させられたと考えており、母が死んだのをキッカケに彼等への復讐に動いた。
でも性分は優しい性格だったようで先述した母への想いや、右京の見舞いや謝罪に伺ったり、官房長の覚悟を聞いて殺意が揺らいでしまったりと人間臭さが抜けていないのが好み。

復讐達成したら100%捕まるにも関わらず小野田と直接対峙したのも犯行後に自殺もしくは逮捕を望んでいた節が見受けられるし、狙撃時に右京を撃ってしまった事で周囲の人間を巻き込まないように考えていた可能性もある。

拳銃の腕は鈍っても優しさは鈍らなかった。

《緊急対策特命係》

要するに特命係は『VIVANT』って話よ

事件は15年前に遡って

①外務省の大物官僚である北条宅でテロリスト達が籠城事件を起こす
②警視庁公安部参事官だった小野田は"緊急対策特命係"を立ち上げる
③警視庁捜査二課から参謀として杉下右京、SAT精鋭の5名を招集
④右京は犯人側と交渉し、11名の人質を6名まで減らす事に成功(目標は3名)
⑤交渉のさなか、アメリカ国務長官の来日が伝えられる
⑥日本の体面を守る為、小野田は早急に突入し事件解決する事を命令
⑦人質も充分に減っていない事や、隊員の危険を考え右京は反対

小野田「やれ!!」

右京「できません!!」

⑩その場で右京は参謀を解任される
⑪小野田の指示で突入作戦が決行
⑫犯人全員、隊員3名、人質1名が犠牲となる
⑬生き残った隊員は口封じで栄転、小野田は警察庁へ戻る
⑭右京は特命係に残され"人材の墓場"と揶揄される

石嶺が言ってたように本当につまらない理由で多くの死人を出してしまった。

とりわけ酷いのは右京への扱いで、それから"陸の孤島"という不名誉な冠までついた特命係に15年間も飼い殺しにされた。(捜査二課の手伝いはしてたみたいだけど)
しかもその間に6名の部下が最短1日、長くても1週間未満で去っていった。(青木曰く全員退職後に事故や病気で死亡したらしい)

それでも右京が特命係に残り続けたのは部下への懺悔の気持ちなのか、それとも警察官を選んだ責任感なのか。
右京もこの時期の事は語らないし、今後も語る事はないと思うけど察して推し量るには余りある。

でもここで現れるのが我等が薫ちゃんよ!!

彼と一緒に過ごしたお陰で10年ぶりに小野田と連絡を取ったし、言い方は厳しくてもついて来てくれる『相棒』になった。
そして今回負傷の身の上という事を考慮しても、右京が明確に亀山を頼ったんだよ!!
こんなドラマチックな事がありますか!?

小野田もコネとか権力に擦り寄りきれない亀山の正義感や性分を高く評価している。
でも亀山は小野田に対して右京への仕打ちを考えると拗ねた対応をとってしまうのもまた人間的な魅力。

正直今回右京不在のなので、もっと活躍して欲しかった気はするが彼の存在だけで救われている。
この下積みがあったので神戸カイト冠城とも良い関係を築けたんだと思う。

《今回のMVP》

小野田公顕

この世にね、僕を殺していい人間は3人いる
君と、もう1人の生き残った隊員…
それから杉下右京
笑うかもしれないけど本気でそう思ってるんだよ

ネタとしても活躍としても申し分ない。
勿論緊急対策特命係の事件では大戦犯なんだけど、今回の石嶺による事件で考えたら本当に優秀。
まずネタとしては歓迎セレモニーに土下座にセルフ留守電に道間違いと全部が面白い。
演者である岸部さんが淡々してるのでシュールな空気がずっと流れてる。

活躍としても、犯人の特徴やビルの構造を端的かつ的確に伝えていたりと現場レベルでも有能さが隠しきれていない。(S1「目撃者」でもその一端は見えていたけど)

宣告なく特命係を潰そうというのはダメだが、右京を特命係という檻から解放しようと思っていた節もあるのと、ただ巻き込まれただけの亀山に対しては異動希望を叶えさせるようにしたりと強権を振るうだけの責任を果たそうともしている。

また石嶺に自身の覚悟と本音を打ち明ける事で彼を殺人犯にしなかったというのもある。
ただ小野田は死にぞこなって残念そうにも見える…
これも一つの悪運なのかもね。

逆にSP2人は無能すぎる…
女性相手ならいざ知らず男性なら股間くらい調べろって話だし、部屋での異変も亀山君が来てドアを開けて初めて気付いたってのは論外。
これで官房長死んでたら内村部長のクビは飛んでたね。

あと地味に好きなのは右京が撃たれて小野田が取り乱して心配する場面。
飄々としてる小野田がここだけ人間臭く慌てている。
後の劇場版Ⅱを思い返すと瀕死の右京に駆け寄る姿だけでグッとくる。

【小ネタ&雑感】

・質問は受け付けない部長
・運転免許試験場は亀山にとって適材適所
・辞令から1週間で廃止ってヤバいな(引継ぎは無くても異動先の受入体制もあるでしょ)
・亀山に事務職は絶対向いてない
・この運転免許試験場の恩師が後に出てくるっていうね
・異動は退職理由になる(俺もそうだし)
・官房長の歓迎セレモニー好きです
・官房長は強権振るうの趣味じゃないが峯秋さんは強権振るうの好き(カイト談
・官房長の部屋に写真があるのか…
・警視庁での名無しの権兵衛…今で言うとVIVANかな
・官房長に呼び出されるのは右京の過去を思うとブチ切れ案件
・留守電官房長超笑った
・大きな謎ってこの話なの!?
・右京さん初の被弾(十数年後にまた撃たれます)
・結局救急車は呼べなかった右京さん
・既に辞表を書き直しまくってる亀山君
・官房長と亀山君の初邂逅
・小野田「杉下の相棒の…」←この一言が重い…
・亀山「もっと特命係の亀山って呼べ!!呼び納めだ…」
・くじ運は悪いが悪運は強い
・人に恨まれる事はしていない(緊急対策特命係を除く
・内村部長が後の社広報課長みたいな仕事してる
・割れたプレートは過去の名残
・緊急対策特命係調べた美和子凄いな(というか記者クラブの先輩も知ってるの凄いよ
・ロジックで小野田へ辿り着くのは亀山君にしては頭が回るな
・パーティ会場がしょぼいぞ閣下
・15年前の警察庁長官と警視総監が登場!!
・右京は警察葬にも参加させてもらえなかったのか…
・石嶺は喫煙者
・石嶺は本郷署の警務部にいた

【次回】


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