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相棒21 第17話「定点写真」感想

感想を書くまでは2回目の視聴はしない様にしてるんだけど、初見よりも圧倒的に面白く感じた。
初見時は寺田心君の出演と杏子役の幸澤沙良さんの透明感と可愛さしか注目出来てなくて物語の内容は二の次だった。
でも改めて観たらクリエイターの葛藤や悲哀を丁寧に描いてる秀作だった。

あと別件だけど今回のサムネは『相棒』だとスグに分かるしサブタイトルにも則してるしかなり好み。


【あらすじ】

イベント会社経営者の撲殺遺体が、死後3日たって発見された。
被害者は、出資金だけ奪うあくどい商売をしていたようで、恨みによる犯行と思われた。
現場を訪れた右京は、一人の少年がその建物にカメラを向けていることに気付く。
調べると、数年前から毎日欠かさず同じ建物の写真がSNSにアップされていた。
興味を引かれた右京は、と撮影ポイントへ。
カメラを手にした奥山幹太という高校生から話を聞く。幹太は何か隠している様子だが、上手くはぐらかされてしまう。
その直後、今度は幹太の幼馴染みだという杏子に話し掛けられる。
彼女もまた何か知っている素振りを見せるが…!?
そんな中、捜査一課が出資金の件でもめていた男を連行。
犯行は否認したものの、被害者には詐欺仲間がいた可能性が浮上する。
いっぽう右京と薫は、写真を通じて幹太と交流がある大塚あゆみという人気カメラマンからも事情を聞く。
と、右京は彼女について、あることが気になって…!?

幹太は何を撮ってしまったのか!?
人気女性カメラマンにも裏の顔が…
定点写真が事件の真実を写し出す!

【感想】

《私は私だけで成り立っていない》

今回の内容って纏めると、実力はあるけど評価されない師匠を慮った弟子が不正でも権威ある賞を取れるように画策するけど、結果それは詐欺で最終的に師匠が詐欺師を殺してしまうっていう物語。

今回一捻りされてたのは浅野の協力者である柴山が犯人ではないっていう事。
被害者の浅野がクソ野郎で容疑者が良い人達だとクソ野郎②である柴山が犯人であった方が間違いなく気持ち良く終われる。
しかも今回は極めて終盤に柴山が協力者だと明かされたので犯人もそのまま柴山だろうとミスリードさせておいて、実は澤田さんが犯人であるという残酷な真実を提示するっていうね。

大塚さんは澤田師匠に憧れて手法をマネして業界から評価を得る事が出来たが、一方澤田さんは賞にノミネートはされるがノミネート止まりで作品作りでは無くアルバイトに近い撮影を行う日々。
そんな中で大塚さんはどんどん自分の創作意欲が失われていき、逆に澤田師匠は変わらない情熱を持ち続けている。

大塚さんはなまじ見た目が美しいから作品への評価ではなく"美人写真家"みたいな取り上げられ方をされているが、能力は一定のラインは越えているので評価と成果釣り合ってない。
澤田さんは能力は高いが"賞味期限切れの人間"として業界から見捨てられてる。

副題にもしてる
「私は私だけで成り立っている訳じゃない」という大塚さんの台詞は澤田さん無しじゃロクに作品も作れない自分自身への嫌悪感が溢れているけどまだ自分への人間らしさある。
でもそこについては幹太君という才能ある若い人間が能力的にも人間的にも慕うっていう事で大塚さんは大塚さんだけでも成り立っている事が証明されてる。
まぁ前回は犯罪によって幸せを得ようとして失敗し苦しんだ人達の物語だったけど、今回は不正によって幸せになろうとして失敗した物語なので『相棒』という作品の一貫性が伝わる。

とはいえ不満点もあり、幹太君と大塚さんの関係値がそこまで構築されてない事と、澤田さんの逮捕シーンが無いので彼の苦しみがイマイチ伝わりづらい事がある。
師弟の悲哀を描くのか才能ある若者を導く教育的な物語になるかどちらか1つの軸で良かった気もしなくも無い。
もしくは浅野も業界人だから風の噂で情報を得たってしておいて柴山が幹太を襲う場面をカットして人間ドラマに尺を割いた方がまとまりとしては良かったかもしれない。
でもそうなると起伏が無いドラマにもなりそうだし、物語構築って難しいね。

《今回のMVP》

深澤杏子

幸澤沙良さんが純粋に可愛いからMVPです。

という半分本音半分冗談は置いておいて、この子が全てに絡んできてる。
幹太の幼馴染で彼があんまり外向的な性格じゃないのを心配して定点写真をSNSにアップするようにアドバイスをし、特命係に幹太の情報を共有して、柴山と消えた幹太を亀山君に伝え、最後は幹太にとっての日常の象徴にもなる八面六臂の大活躍。

まあ亀山君への情報共有は幹太へのストーカー感もあって若干怖いけど、それを差し引いても間違いなくMVP。
ちょっと使い勝手の良いモブ的な扱いだけじゃなく、幹太への恋愛感情を吐露してる事もあって淡い青春模様も描かれている。

幹太は年上の大塚さんへ極めて恋愛感情に近い憧れを持っていたので、大塚さんが幹太を連れ出した時に寂しさと哀しさの中に弱めの嫉妬心もあったようにもお芝居として観て取れる。

最後はSNSに更新された幹太の定点写真に笑顔の杏子ちゃんも映るってENDだったけど、側から見たら突如更新されなくなったSNSが再開したと思ったら超美少女彼女が出来たって事になるから、アップされなかった期間は彼女作りに忙しかったんですかねとも邪推されそう。

何が定点写真を撮る事で毎日の変化を感じてこの現実がループでは無い事を実感するだチクショウ、お前の変化は彼女が出来ましたってか!?

幹太爆発しろ!!

という怨念も本音半分冗談半分だけど、この幸澤沙良さんお芝居上手なのにまだ『相棒』含めてドラマに2本しか出演してないのは純粋に勿体無い。
元々女優を見出す系の番組出身なんだからアイドル活動も悪くは無いけどもっとドラマに出て欲しい。

【小ネタ&雑感】

•ナチュラルに入ってくる特命係
•このやり取り好き
伊丹「なんで来た!」
亀山「そこに事件があるから」
伊丹「そこに山があるからみたいに言うな!」
亀山「事件の事をヤマって言うもんね」
•青木もいないのにどうやってあの子のSNSを
•特命係「なんだかですねぇ」←可愛い
•右京さんを盗撮するとは許せん
•権威に擦り寄らない安月給の亀山君(安月給
•右京は好きなものしか撮らない写真家になりそう(小手鞠談
•写真家の事件だし姪っ子花さん思い出してそうな右京さん
•杏子ちゃんという美人幼馴染がいるのに幹太は20代半ばのお姉さんを狙ってるのかよ!?
•大野いとさん俺と同い年なの!?
•いとさん演じる大塚さんは俺より年上に見えるけど、インスタだと可愛いらしい感じに見えるな
•写真の良さって俺には分からないんだよな…
•鈍亀by伊丹
•捜査の行き詰まりを正直に言う出雲良き

【次回】


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