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【短編小説】徒労の人 ~なぜ書くのか~(全9話)+あとがき

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「犯人はあなただ!」「さあ、聖杯を取り出せ」「紫式部になりたい!」限界まで潜ったその先にある、指先に触れたものをつかみ取れ。あなたは書くために生まれてきたのだから。
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#女子高生探偵

【短編小説】徒労の人 ~なぜ書くのか~ 第1話

   第1話  窓の外は、とめどなく雪が降り続けている。  真っ黒な空には、雪雲がどこにあるのかさえわからず、いつ止むとも知れない。  雪は音を吸収する。ペンションの中は奇妙に静まり返っていた。部屋に集まった数人の男女が、時おり息を呑む音さえも伝わってくる。 「……やっぱりわたし、行ってきます」  沈黙を破ったのはオーナーの妻だった。全員の視線を受けた彼女は一瞬だけためらうと、 「この雪でも、なんとか麓に辿り着くことはできると思うんです。そうしたら、助けを呼ぶことも