【短編小説】徒労の人 ~なぜ書くのか~ 第3話
第3話
洞窟の天井に開いた穴から、銀色の月明りが差し込んでいる。
夥しい石筍は、巨大な怪物が闖入者に向かって牙をむき出しにしているようだ。月明かりが足元の水たまりに反射し、壁に不気味な影を貼りつける。
影は集まって大きな闇を作り、得体のしれないなにかを包み隠そうとする。男たちは言葉を失い、立ち尽くした。じめじめとした空気がひやりと肌を撫で、洞窟の入り口の仕掛けで仲間の一人の首と胴が離れた時の衝撃を生々しくよみがえらせる。
男たちは自然とひと固まりになり、