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【短編小説】望月のころ(全11話)+あとがき

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透、武、さくら、環は高校の同級生。卒業してから10年、武とさくらが結婚し子供が生まれてからも四人組は親しくしていたが……西行法師の詩から始まる、一途で切ない恋愛小説。
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#ハッピーエンドの形とは

【短編小説】望月のころ 第11話(最終回)

   第11話  マンションのエントランスで、僕はポケットからハガキを取り出した。部屋番号を確認してからボタンを押す。 「はーい」  その声が、三十年という長い時間を一瞬で溶かした。僕が名乗ると、「どうぞ」という声と共にオートロックが開く。  エレベーターの中で、僕は背面の鏡に映る自分の姿に目をやった。  生え際にぽつぽつと白いものが混じる。特にサイドのあたりは多く、固まりになっていた。  輪郭がたるんでいるのがわかる。目頭から伸びる皺は頬を斜めに縦断しているし、心な