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第3話 武から連絡があったのは春の初め。花冷えの頃だった。 「どうせヒマだろ? 今夜呑もうぜ」 いつくかの〆切を抱え、ここ一週間はまとまった睡眠も取れずにいた。やっとパズルのピースがすべて揃い、なんとかして組み立てたそれを暗記するほど読み返し、推敲を重ねて、やっと担当に送ったところだった。 「どうせヒマ」という言い方はいささか腑に落ちなかったが、空っぽの冷蔵庫の前で空腹を抱えていたところだったので即座にOKした。 待ち合わせよりもかなり早めに家を出る。日は