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【短編小説】コトノハのこと(全15話)+あとがき

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「あなたが一日でしゃべった回数、たったの五回」呆れる妻に指摘されてから、本当に一日五回しか話せなくなった!? 昭和気質の無口なおじいさんは、孫を救うことができるのか!?
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#最終回

【小説】コトノハのこと 第15話(最終回)

   第15話  その後、孫はしばらくの間夜泣きが続いたらしい。  しかし半月くらいでそれも治まったと聞き、胸をなでおろした。今朝方、妻のスマホに届いた写真では、入園式と書かれた看板の前で、しっかりとした目つきをしていた。 「あら、いい顔で写ってる」  妻の言葉に黙って頷きかけた私は、「そうだな」とつけ加えた。「ひろみの小さい頃によく似てる」  私の喉は再び言葉を取り戻していた。一日に五回という制限もなくなり、まずは妻に謝罪と、事情を説明することができた。  妻は疑