【短編小説】ニシヘヒガシヘ~夜行バスに乗って~第5話
第5話
03:00 バスの中
バスは静かに走り続けている。時計は3時を指していて、人が一日の中で一番眠くなる時間帯だ。
帳面駅を出発してからずっと静かだったバスの中が、今は人の寝息や鼾でかえって賑やかなのが面白い。
運転席に目をやる。ここからじゃよく見えないけれど、大丈夫かしらね。あたしでよかったら話し相手になるけれど。どうせちっとも眠れないし。
真ん中の列のシートからは、どちらの窓も遠い。フロントガラスも前の席が邪魔でよく見えない。それでも、目は無意識