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【短編小説】ニシヘヒガシヘ(全7話)+あとがき

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2024年3月に行われた豆島さんの企画『夜行バスに乗って』への参加作品。「帳面町からバスタ新宿まで」の夜行バスに乗った怪しい人物は誰だ!? そして、主人公の抱える事情とは。
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#かわいそう

【短編小説】ニシヘヒガシヘ~夜行バスに乗って~第4話

   第4話 02:00 △△サービスエリア(休憩20分) 「△△サービスエリアに到着です」  エンジンの音が止まった。運転手の声が合図のように、静かだったバスの中に、たった今、目を覚ました人たちの気配が広がる。  ちっとも眠れなかった。昨夜もまんじりともせず布団の中で寝返りを打ち続けているうちに朝を迎えて、それなのにいつも通りに仕事もしてきたのに。 「こちらでは予定よりも長めの30分休憩になります。2時までにお戻りください」  道路は空いていて、予定よりもずいぶん

【短編小説】ニシヘヒガシヘ~夜行バスに乗って~第6話

   第6話 04:00 〇△サービスエリア(休憩20分) 「〇△サービスエリアに到着です」  眠っている乗客たちのために、運転手が囁くように言った。駐車場に入ったバスがスピードを落とす。  不意に誰かが立ち上がった。運転席へ向かって、足音も荒く駆け寄る。 「停まるな!」  あたしは驚いて首を伸ばした。他にも、起きていた人たちが声のする方に顔を向けている。 「このまま出発しろ!」  その声に聞き覚えがあった。まさか。  背もたれにつかまりながら、動くバスの中でシート