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著作権譲渡はしちゃダメ?!

 こんにちは、フリーイラストレーターの頼和 愛(@ai_yoriwa)です。

 今回はイラストレーターには欠かせない著作権譲渡についてお話いたします。

 絵を有償依頼で描いた時、お客様からお金を頂きますよね?

 これって何の料金だと思いますか???

 これ、駆け出しのイラストレーターさんや仕事でイラストの発注をしたことのない方はあまり分かっていないと思うのですが、厳密にはイラストの制作費だけではありません。

 え? どういうこと? と思いましたか?

 通常、イラストの有償依頼で支払って頂く料金というのは、そのイラストの制作費と使用料です。

 知らない人、実は多いんじゃないでしょうか?

 一枚のイラストを(例えば)アイコンで使用します、という料金なのです。

 依頼者のために描いたからといって、何のメディアでも使っていいという話ではありません。

 例えばアイコンで描いてもらった絵を自分のHPでも使うとなれば、別途HPでの使用料も支払わなければいけないのです。

 仮に雑誌の広告用に描いてもらった絵を、無断でポスターにして交通広告なんかに掲出した日には大問題になります。契約違反です。

 私は広告代理店でイラストの発注をしていた時、必ずどの媒体でイラストを使用するかをイラストレーターさんに提示して見積もりを出してもらっていました。

 後から追加で支払うことも相手によっては可能だと思いますが、制作の前に伝えておくことが望ましいです。

 大体の金額感としてはメインのビジュアル制作費が例えば50万だとしたら、リサイズなども含めた使用料は1件につき5〜20万くらいでした(これでも安い方かも)。

 面倒くさいと思いましたか?

 発注側の方は、「だったら著作者譲渡にすればいいのでは?」と思うかもしれません。

 ただ、私が6年ほど広告代理店にいた時、著作権譲渡をしてもらったことは一度もありません。

 著作権譲渡ということは様々なメディアでの使用料を想定するということですので、かなり高額になります。広告関係だと普通はあまりそこまでやらないのです。何年も同じビジュアルを使い続けることもありませんからね。

 これがゲームなどのコンテンツ業界だと違うかもしれませんが、広告業界では著作権譲渡はあまりやりません。

 発注側が個人の場合、比較的気軽に著作権譲渡の話が出ることがありますが、著作権譲渡なら一枚の制作費と使用料金の数倍(2〜3倍?)はイラストレーターさんへお支払いするべきです。

 お仕事歴の浅いイラストレーターさんはそんなにもらっていいの? と思うかもしれませんが、何に使われるかいつまで使われるか分かりませんし、自分の描いた絵なのに自分のポートフォリオなどでも自由に使えなくなるわけですから、多く支払ってもらうのは当然です。

 それだけ著作権譲渡というのは大きなことなのです。

 つまり著作権譲渡はよほど高額な買い取りで、何に使われてもいい、実績にならなくてもいいと思わない限りやらない方がいい、ということです。

 私も先日著作権譲渡での制作のお問い合わせを頂きましたが、お断りしました。

 なお、著作権譲渡を契約しても著作者人格権は移りません。

 著作者人格権とは公表権、氏名表示権、同一性保持権のことで、これを著作者に残さない場合は別途著作者人格権の不行使を契約する必要があります(イラストレーターにはかなり不利)。

 これは著作権譲渡よりももっと慎重になるべき問題ですので、また別の記事で取り上げたいと思います。

 なお、著作権についてはイラストレーターさんも発注する側もちゃんと知っておいた方が良いです。私も専門家ではないので疑問は適宜調べつつ活動しています。文化庁のページを貼っておきますので、お仕事をする前にしっかり確認しておきましょう。

 イラストレーターさんは気軽に著作権譲渡をして後悔しないように気を付けましょう。

 以前、こちらの記事でも著作権に関する記事を書いていますので、法律に不安のある方は是非読んでみてください。

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 ではまた!

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