【TOKIO・山口達也とアルコール依存症】

私は、アルコール依存症と診断されています。
そんな私の目から見て、失礼ながらも山口達也さんもアルコール依存症である可能性が高い、と感じています。

アルコール依存症になるキッカケは様々です。単純に好きで飲んでいたのに、どんどん酒量が増えて酒に飲まれていってなるパターン、空虚な何かを埋める為や苛立ちを抑える為に飲みすぎてなるパターン、嫌なことがあって自棄酒が続いてなるパターン……挙げればキリがないほど、誰もがアルコール依存症になる可能性が、その辺にゴロゴロ落っこちています。
ちなみに私は、とある期間の毎晩の自棄酒からの連続飲酒(24時間絶えず飲み続けること)で、アルコール依存症と診断されました。その期間、たったの2ヶ月。たった2ヶ月の変な飲み方で、アルコール依存症と診断されてしまったのです。

山口さんは、「肝臓の関係で入院していた」という事実があると報道されてたように記憶しております。恐らくそれは本当なのではないか、と思います。何故なら、アルコール依存症の専門病院に入れられたら、最低でも3ヶ月は出てこられないはずなのです。
何故3ヶ月か。この期間は、お酒をやめる(以後、「断酒」と表現します)ことが一番つらい時期だからです。「離脱症状」という症状が、うまく自分をコントロールさせてくれないのです。離脱症状の特徴としては、手が震える、幻聴幻覚が現れる、やたらに発汗する、鬱屈する、やる気が出なくなる…等です。それが出てくるのが嫌で、またお酒を飲んで離脱症状を抑えてしまう。そうすると、断酒カウンターがゼロに戻ってしまい、また最初から3ヶ月頑張らなければなりません。断酒を失敗する危ない時期が、この3ヶ月です。断酒をして3ヶ月を過ぎると、少しだけ身体がラクになります。しかし、ラクになると安心してお酒を飲んでしまったりする場合もあり、ギリギリの期間であることは間違いないです。
山口さんは、1ヶ月入院して退院したその日に焼酎1本空けた、とのことで。私から見ると、離脱症状に耐えられなくて飲んだようにしか見えません。それくらい、離脱症状はしんどいのです。

「そんなの、意志が弱い」と思っている方も多いかと思います。しかし、アルコール依存症は自らの意思でどうこうできる病気ではありません。立派な、心と身体に関係した病です。何かに、お酒に頼らねばならないほど追い詰められていたのかもしれません。肝臓が悪いのに、肝臓を悪くするだけのものを飲んでしまうその心理を、みなさんはどう思いますか?山口さん本人の会見での手の震えと異常な発汗。あれは、離脱症状だと思っています。お酒を飲まないと手が震えて何もできない。暑い、汗が止まらない。……飲みたく、いや、飲まなければという気持ちになりませんか?あなたも社会人で、仕事を真っ当にこなすためならば。

アルコール依存症は、糖尿病と一緒で一生治りません。=一生お酒は飲めなくなります。では、どういった治療をするのか。まずはミーティングという、同じくアルコール依存症の患者さんたちと一緒に、テーマに沿って「自分の話」を正直に打ち明け、その際「ほかの人の話」をよく聞く、というプログラムを受けます。正直に話す、自分に正直になることがキモであり、大切なことです。きっと、お酒でフタをしていた何かを思い出すキッカケとなり、ほかの人の話を聞くことで、お酒で悩んでいるのは自分は一人ではないんだ、と思えることでしょう。また、自分が何故アルコールで何もかも済ませようとしたかを振り返って、分析していく作業(「棚おろし」と言います)が必要です。それに加えて、最終兵器の「抗酒剤」。文字通り、お酒に過剰に反応する薬(液体)を飲むこと。抗酒剤を飲んだ後にお酒を飲むと、動悸が速くなり、目の前が白くなり、歩けなくすらなります。死ぬほど苦しいです。私も抗酒剤飲んだのにスリップ(断酒中なのにお酒を飲んでしまうこと)した時に、救急車呼んだくらいです。こうして、少しずつ断酒の期間を延ばしていきます。完治はしませんが、「飲む必要がない」と思えるところには、いつか辿り着けます。

「アルコール依存症」と聞くと、ものすごく抵抗を持つ方も多々いらっしゃると思います。何するかわからなくて怖い、酒乱、記憶が無いとかふざけてる、等々、言いたいことは山ほどあると思いますし、私も始めはそう思っていました。しかし、前にも書いた通り、そして自分が当事者になってみて思うことは、アルコール依存症は誰もがなりうる病です。どうか、色眼鏡を外して、うつ病やらと同じような身近な精神疾患なんだ、と思ってくだされば、とこれを読んで思ってくれたら幸いです。

また、アルコール依存症の治療の第一歩は、「自分がアルコール依存症であることを認める」ことです。事務所が、周りがどうこう言おうと、彼自身が自分を認め、早く治療に入れるように、と願うばかりです。

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