子犬のような笑顔

可愛かった。
何とも言えない可愛さがあって儚かった。
子犬のように笑って、ツンととぼける、愛しくてたまらなかった


その君の笑顔を奪った。あいつが鬼のように見えて、早く殺してしまわないといけないと思った。そいつを殺して、僕も死んでやろう。

かわいいあの子はもうこの世にいないのに。憎いあいつだけが生きている。あいつは、きっと誰かから愛されている。そんなことがあってたまるものか。しかし、あいつは愛された愛されてしまった。どんな罰を背負ってでもあいつを殺してやる。


でも、僕にはそんな力がなかった。自力で立つことも動くこともできなかった。かわいいあの子はいつも僕を動かしてくれた。僕の行きたいところに僕を連れてってくれた。
僕は世話係がいなくなったのだ。それが憎いわけではないけれど、僕が生きる価値も同時になくなった気がした。

僕は彼女が好きだったから、好きな彼女に好きな場所に連れてってもらうことが好きだった。幸せだった。それをとてもとても幸せな日だった。君に会える日を今か今と待って毎日を過ごしていた。
もうそんな日は来ない。
君には会えない。
楽しくない。
もう僕は死んでしまう。でも死ねない。自分の力と死ぬこともできない。大切な彼女を守ることができない。大切な彼女殺した。あいつも憎けれど殺すこともできない。何もできない。無力で虫けらと同等の存在

こんなことになるんだったら、先に殺しとけばよかったなぁ。
僕のこの手で殺めてしまえばよかったなぁ。
先に死なれると困るんだよなぁ。
ずっと計画してたのに、
変な虫が寄ってくるから。
今更言っても遅いんだけど。

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