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カスタマーサポートの相方がAIになった日

こんにちは、amptalk カスタマーサポートのAI SATO(@Ai_SATO_CS)です。名前はAIですが、この記事を書いているのは人間です🤖

amptalk 2人目CSとして入社し、2年を迎えようとしています。
有難いことに、2024年12月、amptalk は10億円の資金調達を実施しました…!これからの事業成長にワクワク&ユーザー様への感謝を還元できるよう、より気が引き締しまるこの頃です。

この記事は、事象成長に伴い、気がつけばカスタマーサポートの相方がAIになっていた経験談を共有できればと思います。

AIでサポート関連の業務効率をあげたい・負担を軽減したいな~と思っている方のご参考になれば幸甚です。


カスタマーサポートの課題

人だけの問い合わせ対応は限界がくる

社員数が入社時の3倍ほどになり、各方面の知見がにぎやかになってきた頃。サポート経験のあるPdM(@rincham_obt)が、当時の amptalk カスタマーサポートの問題点をこう指摘してくれました。

事業の成長スピード的に人手のみでサポート対応するのはもうそろ限界ですよ、自動化を早く進めたほうがいい ” と。

やばさを教えてくれるPdM(イメージ)

当時、CSは「高クオリティな顧客体験の提供」にフォーカスしてて、サポートでは、回答品質や返信スピードがKPIに含まれていました。
AI導入前はCSAT=96%、初回レスポンス=約4分以内と、KPI達成実績としては花丸な状態でした。

(「高クオリティ」の定義はこの場ではさて置き)
ただ、このKPIを達成し続けるには、「常に」即レス対応ができる状態が必要で、人的リソース不足や属人化 (知識習得の壁)がじわじわと表出してきました。

セールスイネーブルメントを掲げている会社で、人力頼み&属人化だなんて  amptalk MVVの「BE THE ROLE MODEL」  じゃない…!という思いと、
そもそも、私たちが「高クオリティ」と思っていた状態=ユーザー様が本当に求めている事なのか?の問いが生まれました。


「個客満足度が高い=解約しない」ではない

CSAT=96%、初回レスポンス=約4分以内。
これを1年以上やってきて得たことは、CSATが良くても即レスしても、解約は訪れるという1つの真理です(泣)

マシュー・ディクソン氏の提唱する「おもてなし幻想」正にこれです。

おもてなし幻想とは
①感動的な顧客サービスは、顧客ロイヤリティをあげていく事とは関係ない
②ひとが問題解決のために、顧客対応した場合、顧客ロイヤリティに4倍悪影響を及ぼす

Amazon:おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係

つまりは、

  • 顧客に手間をかけさせるな

  • 問い合わせが来た時点で1アウト

  • セルフサクセス強化にリソースを投下しろ、です。

具体的には、プロダクト含め、FAQ やコンテンツでプロアクティブな(前もっての)支援をしたり、問い合わせが来た事柄はコンテンツ化し情報を還元する等です。「問い合わせの予防」こそ真のサポートであると、この本からそして解約の経験に学びました。

類似例を1つ。顧客接点ごとの体験を計測する「Value-Friction CXフレームワーク」も、顧客に苦労させない体験設計をしようという取り組みです。
(参考:https://www.partnerhero.com/blog/we-are-measuring-customer-experience-wrong)

おもてなし幻想から脱却しよう!とした時、やはり手が足りない問題は依然として残ってしまい。そこで抜擢されたのが、チャットbot でした。

おまけ:XのGrok2(AI) 作。”幻想”に気づいた時の自分はこんな顔だったかも。

世界のAI利用の動向

米・英・仏・独の営業/CS/セールスイネーブルメント系の業務につく役職者1400人への調査によれば、

回答者の83%がAI×セールスイネーブルメントで収益成長が望めると肯定。また、約半数は、実際にAIを業務に取り入れていて、その効果を実感しているそうです。

さらに、Gartner社の調査では、カスタマーサポート系の職種で今後AIを導入する企業は、80%を超えるだろうと予測されています。
(参照:IBM AIはカスタマー・サービスの未来に影響を与える6つの側面

AI×イネーブルメント系の海外レポートを見て感じるのは、AIの企業導入は、すでにアーリーマジョリティ(率先的に新しいものを取り入れる層の中で一番大きい層)まで進んでおり、今後、より一般化が加速するであろうということです。(参考:The State of AI in Enablement: 2023))

先駆者の導入が終わり始めている=ある程度の実用性が認められてきているとも取れ、今後、AIを導入している・いないによる格差みたいなものが生まれてくるフェーズに入ってきているのかなぁとも思います。

ちなみに、カスタマーサポート専任を何人配置しているか、見聞きしたところ、1-3人が多数でした。抱えているユーザー数に対して、少ないサポ人員で回せているところは、AIを利用していたり非即レス文化、セルフ解決の仕組みができている印象です。

取り組みと使用ツール

やっと本題ですね。
amptalk のサポートの課題「リソース不足・属人化」を継続的に解消していくために、大きくは下記2つを実行しました。

  • 人間100%のチャット対応 → 初手をすべてAI 回答に移行

  • プロアクティブサポートの提供 →先回りサポートで問い合わせを減らす

intercom 社のAIエージェント

私たちのカスタマーサポートのプラットフォームは intercom です。自然言語で対応できるAIチャットbotがあるのですが、ここ数カ月で爆速で精度が上がってきている代物です。

チャット対応をAIエージェントによって自動化し、業務効率を改善するために実行したことは下記です。

  • AIにプロダクトナレッジや過去の問い合わせケースを学習させる

  • AIが情報を理解しやすいように、FAQやナッレジ集の文章構成の見直し

  • 問合せケースを自動でトリアージし、優先づけに応じて人間にアサイン

  • サポメンバーのスケジュールを問合せ対応時間/その他業務でブロック

  • 初回ログイン時にユーザー種別に応じた初期設定リストやツアー等を出す

  • AIのナレッジや回答を補正する作業を毎日とる…etc

細々とはまだありますが、現状は、初回レスポンスはほぼ100% AIが対応し、最終的に人間が対応するケースは40%以下です。

チャットに貼りつかなくて良くなった事で、業務時間のコントロールがしやすくなり、より本質的な活動に時間を充てられるようになりました。

また、問合せがきて「あれ、なんだっけ…(検索検索検索…)」のような地味に時間のかかる作業から解放されたことも大きいです。ナッレジはAIに覚えておいてもらうのが安心。もう手放せません。

今後は、更にAIの解決率を高めて、より人間が介在しなくて良い状態を包括的に用意していく予定です。

AIをうまくつかうために

チャットbotを試行してみて気を付けていること
=AIに学習させる情報の文書構成と継続的な情報更新、です。

AIに渡す情報は、主語・動詞・目的語を明確にし、曖昧な指示語を使わず簡潔な文書となるようにしています。
具体的には、これ・それ等は固有名詞に置き換えたり、「管理者」は「(何)の管理者」とする等です。

AIが誤回答している場合、大体はAIに提供した情報の書き方や整理の仕方が良くなったり、新旧の情報がヘルプセンターに混在していたりします。

AIの誤回答をきかっけに、FAQやナレッジセンターの直しどころがキャッチできるので、これらを修正し続ければ、AIの自己解決率のUPとユーザー様のセルフ解決にもつながります。

今後の展望

AIが相方になってくれたおかげで、サポチームは翼を得た感があります。
今後は、ユーザー様のセルフ解決を促すコンテンツ拡充や、サポートのオートメーション、社内問合せの整備などなど、多方面にイネーブルメントしていきたいと思っています。intercom にはそういったAIツールが豊富にあるので、使いこなせたら結構強いサポートチームが作れそうです。


最後に、 amptalk では全方位で採用強化中です!
ちょっとでも気になったら、是非、カジュアル面談もご利用ください!


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