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【chatGPT事件簿】ニューヨーク・タイムズ、著作権侵害でChatGPT開発元のOpenAIとMicrosoftを「数十億ドル」で提訴

昨年末、chatGPTに関して今後の行方を左右するような大きな事件がありました。


ニューヨーク・タイムズ紙が「数百万」もの自社の記事が「無断」で使用されたChatGPTの知性を向上させるために活用されたと主張したのです。


顕在化してきたAIに仕事を奪われる人々
(具体的事例)


これまでも2023年の9月にはジョージ・R・R・マーティンやジョン・グリシャムなどの米国の著名な作家たちがchatGPTの親会社であるOpenAIに対して著作権侵害訴訟を起こしていました。


その前の7月には、コメディアンのサラ・シルバーマンが訴訟を起こし、マーガレット・アトウッドやフィリップ・プルマンが、自分たちの作品を使用しているAI企業に対する報酬を求める公開書簡に署名する、といった出来事がありました。


さらに、OpenAIはMicrosoftやGitHubとともに、コンピューティングの専門家たちから、AI名Copilotの訓練に無断でコードが使用されたとして訴えられています。

1月には著作権を持つアートワークを無断でトレーニングに使用したとして、これらのテキストから画像へのジェネレーターに対する訴訟がアーティストたちによって提起されました。


そうです。
ついに「AIに仕事を奪われている人達がどんどん出てきている」という状況になっています。これからそういう話をまわりで耳にする機会が増えていきます。

今回ニューヨーク・タイムズもOpenAIに対して訴訟を起こしました。この訴訟には、Microsoftも被告として含まれています。訴訟では著作権侵害を主張し、両社には「数十億ドル」に上る損害賠償の責任があるとしています。


大規模な言語モデル(LLMs)であるChatGPTは、様々なオンラインソースから収集された広範囲のデータセットを分析することによって知識を獲得します。ニューヨーク・タイムズ紙は、「数百万」もの自社の記事が、ChatGPTの知性を向上させるために無断で使用されたと主張しています。

訴訟では、この言語モデルが、信頼できる情報源として新聞と競合し、現在の出来事について尋ねられた際にはニューヨーク・タイムズの記事から「逐語的な抜粋」(少しずつ抜粋みたいな意味)を生成することがあると指摘しています。

提出された法的文書によると『この行為によって読者はニューヨーク・タイムズのコンテンツに定期購読の必要なくアクセスできるようになり、その結果、新聞社にとっては定期購読料収入と広告クリック数が失われることになる』と主張しています。

さらに、ChatGPTが提供するBing検索エンジンが、ニューヨーク・タイムズが所有するウェブサイトからの結果を適切な帰属表示なしに生成し、それによって新聞社から紹介リンクによる収入を奪っていることも主張しています。

MicrosoftはOpenAIに10億ドル(約78億ポンド)以上を投資しており、この訴訟に巻き込まれることになりました。


ニューヨーク・タイムズは著作権の問題に対する「友好的な解決」を図るため、4月にMicrosoftとOpenAIの両社に接触したが成功しなかったと報じられています。


驚異的なスピードで進化するAIに法律はどう整備されていくか



冒頭にあげた法的紛争(特にStability AIやMidjourneyなどの生成AI開発者を巻き込むもの)は、現在も未解決のままです。

このような訴訟は、AIと著作権の交差点において新たな法的問題を提起しています。一部の専門家は、著作権法が急速に進化する技術の進歩に追いついていないと指摘しており、現行の法律がAIが生成するコンテンツにどのように適用されるかについての明確なガイドラインが不足しているとの意見があります。


OpenAIとMicrosoftの代表者はこの件に関する公式のコメントを控えていますが、以前にはAIによるコンテンツ生成が著作権侵害に当たらないとの立場を示していました。


それにもかかわらず、ニューヨーク・タイムズの訴訟は、企業がAI技術を使用して収益を上げる方法と著作権保有者の権利の保護の間の緊張関係を浮き彫りにしています。

この訴訟の結果は、AI技術の今後の発展、特に言語モデルや他のAI駆動技術の使用に関する法的枠組みに大きな影響を与える可能性があります。


これから"誰もわるくない争い"が頻発する


私は今年からこういった争いが頻発すると考えています。
しかし同時に脅威的なAIの進化にたいして、情報への感度が高い人々(マーケティング業界ではイノベーターやアーリーアダプターといいます)が驚異的なスピードでその活用と普及をしていくことは間違いありません。


そのためAIが衰退していくということは考えられないところまできたと思います(人は一度経験した利便性からは離れられないものです)。

だれかが『新聞(紙媒体)はゆっくり死を迎えるがネットメディアは突然死する』と言ったという言葉を聞いたことがありますが、かのニューヨークタイムズも例外とはならないのかもしれませんね。

あなたの仕事はAIに奪われないと思いますか?



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