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熊野にまつわる物語③

和泉(いずみ)式部の熊野詣で

平安時代の女流歌人として有名な和泉式部も熊野詣でを果たした人物として知られています。

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出典:貴志康親編『紀伊国名所図会』後編・下巻, 貴志康親, 1937年, p.728(国立国会図書館デジタルアーカイブ〔https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1239134〕, コマ番号379)

熊野詣での最中、本宮まであと少しという伏拝王子にさしかかったところで月の障りがきてしまいます。
このような穢れた状態では参拝などできないと嘆き悲しんだ和泉式部は次の歌を詠みました。

 晴れやらぬ 身の浮き雲の たなびきて 月の障りと なるぞ悲しき

すると夢枕に熊野権現が現れて、返歌を告げます。

 もとよりも 塵に交わる 神なれば 月の障りも なにか苦しき

熊野権現は「信不信を選ばず、浄不浄を嫌わず」という精神の神様ですから、月の障りなど些末なことというのです。
目を覚ました和泉式部は喜び勇んで本宮へと向かいました。

ちなみに伏拝王子には和泉式部の供養塔が残っています。

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